VPNだと転送が遅い…という時に。マルチストリーミング機能で高速レプリケーション!
こんにちは、ホテです。今日ご紹介するのはARCserve Replication/HA r16で追加されたマルチストリーミングという機能です。この機能は「レプリケーションのセッションを分割し、高遅延(高レイテンシ)の環境でも高速に通信する」ための機能です。
と、いきなり言われても何の事だか分からないですよね。「レイテンシ」とか「遅延」といった用語になじみのない方は、まずはこちらの記事をご覧ください。大変わかりやすく説明してくれています!
第1回 FTPでスループット計測するときの注意事項:教科書には載っていない ネットワークエンジニアの実践技術
例えば、VPN経由で他の拠点のファイルサーバにファイルをコピーしようとするとやけに遅い、という事はありませんか?これは、その「遅延」が原因になっている可能性があります。
ファイル共有(CIFS)のウィンドウサイズを16KB、拠点間のRTT(往復遅延時間)を50msとすると、
16KB ×(1000 ÷ 50)回/秒 = 320KB/秒 = 2.5Mbps
という事で、2.5Mbpsしか速度が出ない、という事が分かります。これだと災害対策などの理由で大容量のデータを送るには心もとないです。そこで、マルチストリーミング機能の出番です。下の図のようにデータを送る経路(ストリーム)を最大10に増やすことで、転送速度を向上させます。
この機能を使うとどうなるか、さっきと同じように計算してみましょう。ARCserve Replication/HA のウィンドウサイズは初期設定で256KBです。ストリームの数を10に増やしたとすると、
256KB ×(1000 ÷ 50)回/秒 × 10ストリーム = 50MB/秒 = 400Mbps
と、速度が全く違います!
■ 実際の効果のほどは?
理論上はさっきの計算で速度を算出できるのですが、実際には帯域幅など他の要素も効いてきます。そこで、東京のサーバから海外のクラウドにファイルを送って速度を比較してみました。結果はこちらです!
左側はARCserve D2Dで直接クラウドにバックアップしたケースです。このテストは結構シビアなテストで、転送先が海外にあるので遅延が500msくらいありました!速度が出ないのは遅延が原因で、別にARCserve D2Dが悪いという事ではありません。
一方、同じ環境でARCserve Replicationを使ってデータを転送してみると、6倍近い速度が出ています。これはまさにマルチストリーミングの効果です。回線の足回りはBフレッツのマンションタイプなので、帯域幅はほぼほぼ使い切れていると言えるのではないかと思います。(※1)
■ 設定方法
どうやったらこの機能を有効にできるの?と言う方、実は初期設定のままで何もしなくて結構です。
ARCserve Replication/HAはシナリオ実行時にマスタ-レプリカ間の遅延を測定します。で、遅延が50ms以上あると分かった時には自動でストリームを5つに増やしてくれます。(遅延が50ms未満の場合はストリームは分割せずに1つのままです。)
どうしても、自分で手動で設定したい、という時には、シナリオ プロパティを開いてみてください。[レプリケーション]-[オプション設定]の[ストリーム数]を調整すれば、ストリームの数を変更する事ができます。
(「ユーザー設定済み」が初期設定で、RTTの値をもとにストリーム数を自動調整します)
■ なんか遅い、という時には是非トライアルを!
このように転送方法を変えるだけで、同じネットワークでもパフォーマンスが全く変わってくることがあります。大きいデータを送りたいのだけれども思ったほど速度が出ない、という時には是非ARCserve Replication/HAの無償トライアル版(評価版)をお試しください。お金をかけてネットワークの契約を見直すよりも、案外簡単に問題が解決するかもしれません。
また、トライアル版について良くいただくご質問をこちらの記事でまとめてあります!
疑問解決!Arcserveトライアル版(試用版)についての10の質問
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※1 Arcserve D2D の後継製品 Arcserve UDP では標準機能でバックアップ データをレプリケートできます。Arcserve D2D と Arcserve Replication を組み合わせるのと同じように、マルチストリーミングで高速にデータを転送できます。
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