ARCserve RHA r16.5 SP1登場!エイリアスを使って簡単切り替え(前編)
マサオミです。
前回ARCserve Replication/High Availability r16.5の新機能が終わったところで恐縮ですが、
最近リリースされたr16.5 SP1にも新機能が搭載されたので、こちらも是非紹介させてください。
Arcserve Replication/High Availability r16.5 紹介資料
https://www.arcserve.com/sites/default/files/wp-doc/asrha-r165-presentation.pdf
今回は特にARCserve High Availability (以後、ARCserve HA)の話題です。
ファイルサーバでARCserve Replicationをご利用のお客様は多いのですが、
いざ切り替えが必要になると、ユーザさんをレプリカサーバに誘導する作業が必要です。
この作業負荷を減らすのがARCserve HAです。
ファイルサーバの場合、ARCserve HAでは切り替え方法に「コンピュータ名の切り替え」という
機能を提供していましたが、競合を避けるため実コンピュータ名を変更する作業が発生するので
それに伴う再起動が必要だったり、コンピュータ名が変わってしまうことで常駐していたソフトウェアや
アプリケーションが動かなくなってしまうのでは、 という懸念がありました。
そこで追加されたのが「コンピュータ エイリアスの切り替え」機能です!
エイリアスとは「別名」の事です。サーバに実コンピュータ名とは異なる
別名を割り当てている環境で、新しく追加されたこの切り替え方法を使うと
この別名を移動したり、登録先を書き換えることでユーザを
レプリカ サーバに誘導することができるようになります。
別名の割り当て方は大きく2つあり、DNSのレコードを追加する方法と
NetBIOS名(コンピュータ名)に別名を持たせる方法があります。
前編ではDNSのレコードを利用する方法を、後編ではNetBIOS名のエイリアスを利用する方法を
エイリアスの設定方法も合わせてご紹介します。
この方法になれてしまうと、もう従来の切り替え方法には戻れないかも!?
<今回の設定イメージ>
■ DNS エイリアスの登録
それでは、まずDNSサーバにエイリアス(CNAME)を登録してみましょう。
と、その前にDNSマネージャの[表示] - [詳細表示] を選択しておいてください。
選択するとチェックが付きます。
前方参照ゾーンからレプリケーション対象が含まれるゾーンを選び
右クリック、もしくはメニューから[操作] を選び、 [新しいエイリアス(CNAME)」を選択します。
追加されたレコードに別名を付けます。今回はFileServerとしました。
ターゲットはマスタとなるファイルサーバを指定します。ここではMASTERを指定しました。
(FQDNで表示されているのでMASTER.ca.comになっています)
また、一番下にあるTime to live (TTL)を変更しておきます。
デフォルトは1時間なのですが、特にテスト環境の場合には短くした方が
切り替え後にキャッシュに邪魔されないので便利です。 今回は「30秒」に変えておきます。
([表示] - [詳細設定] にチェックが入っていないと表示されません)
最後に[OK]をクリックし、エイリアスを追加しましょう。
これで、「\\FileServer\<共有フォルダ名>」のUNCパスでアクセスすると
本番サーバへのパス「\\MASTER\<共有フォルダ名>」と同じ場所へアクセスができます。
ただ、環境によってはこれだけではアクセスできないことがありますので、
マスタサーバで以下のおまじない(レジストリの追加)をしておきます。
項目 | 設定 |
キー | HKEY_LOCAL_MACHINE\SYSTEM\CurrentControlSet\Services\LanmanServer\Parameters |
名前(値) | DisableStrictNameChecking |
種類 | REG_DWORD (32ビット) |
データ | 1 |
※ ここまでやってもアクセスできなかったら、再起動してみてください。
では、エイリアスを使ってアクセスしてみましょう。
■ HA シナリオの作成
エイリアスの登録とアクセスが確認できたらシナリオの作成です。
今回は「ファイルサーバ」の「ハイ アベイラビリティ シナリオ (HA)」を作ります。
次の画面でマスタとレプリカを指定するのですが、
この際、必ず実コンピュータ名を指定してください。
エイリアスを指定するわけではありません。
複製対象のフォルダは先ほどアクセスした「第1ソリューション営業部」を選んでいます。
その後はウィザードに従って[ スイッチオーバー プロパティ ]まで進めます。
ファイルサーバ HA シナリオの場合、[ネットワーク トラフィック リダイレクション] 以下の
[ DNS リダイレクト ] と [ コンピュータ名の切り替え ] がデフォルトでは
両方ともオンになっていますので、一旦すべてオフにして
[ コンピュータ エイリアスの切り替え ] のみを「オン」にします。
すると先ほどDNSサーバに登録したエイリアスが自動的に取得されます。
後は最後までシナリオを作成し、実行してください。
では、スイッチオーバーを実行してみましょう。
スイッチオーバー後、DNSエイリアスのターゲットがレプリカサーバになっていれば成功です。
エイリアスを指定して共有フォルダにアクセスしても先ほどと何も変わりません。
ユーザさんはいつも通りの接続方法でファイルサーバを使うことができます。
スイッチバックも同様です。
([スイッチオーバー後のリバースレプリケーションシナリオの実行] オプションも使えます)
(上記チェックを入れると、スイッチバック後、同期はスキップされてレプリケーションが始まります)
DNSエイリアスももちろんマスタサーバの方に向きが直っていますので
共有フォルダにアクセスしても、先ほど全く同じように共有フォルダが表示されます。
いかがですか?HAシナリオがグッと身近に感じませんか?
マスタサーバが障害で壊れてしまっても、変更されているのは
DNSエイリアスのレコードだけなので、復旧後もマスタサーバで
「非アクティブ化(※)」をする必要はありません。
※ アクティブだったサーバをスタンバイにする処理
ただ、お客様の環境にDNSサーバがない、ということもあるでしょう。
その場合には、NetBIOS名のエイリアスを利用します。
こちらは次回解説します。
それでは、本日はここまで。
See you in next TT . . .
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