Arcserve UDP v6 新機能紹介 ~ (2) 仮想マシンとして即時復旧 (インスタントVM) ~
今日は、Arcserve UDP v6 のリリース以降、ご質問をいただく事が多いインスタントVMという機能をご紹介します。
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目次:
1) 新バージョンのコンセプトとセミナーのご案内
2) 仮想マシンとして即時復旧 (インスタントVM) ← 本日はここ
3) Linux エージェントレス バックアップからのファイル リストア
4) Linux エージェントの機能強化
5) キャパシティ プラニング ツールでバックアップ サーバのサイジングをより正確に
6) かさばるデータの保管に使えるファイル コピー機能が進化
7) 管理コンソール初心者のための簡単設定ウィザード
8) Windowsイベント ログへの登録
9) PowerShell を使ったバックアップ/リストアの自動実行 【前編】
10) PowerShell を使ったバックアップ/リストアの自動実行 【後編】
11) テープへの二次バックアップの強化(「テープへのコピー」タスクの追加)
12) その他の新機能と機能改善
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普通のバックアップソフトでは、システムを復旧するためにリストアと呼ばれる処理を行う必要があります。リストアはフルバックアップの逆をやるようなものなので、バックアップ対象の容量が大きいとそれなりの時間がかかりるのはご存知の通りです。そこで、リストアをせずに直接バックアップ データを参照してみよう、というのがこのインスタントVMの考え方になります。特長は以下3点です。
特長1:とにかく速い!
リストアを行わず、バックアップデータを直接参照しに行くので2~3分で仮想マシンが起動します。まさにインスタント!特長2:手軽に始められる!
バックアップデータと仮想基盤(vSphere、Hyper-V、Nutanix AHV※1)さえあれば使えます。バックアップデータを直接参照するため、インスタントVMの作成先である仮想基盤にはバックアップ元と同じだけのディスクを確保しておく必要がありません。Arcserve UDP v6.5 からクラウドでインスタントVMを起動できるようになり(※2)、ますます手軽になりました。特長3:簡単!
ウィザードに従って簡単な設定を行うだけで誰でも使えます。具体的な手順はこの後ご紹介します。
【インスタントVMを作って起動してみる】
では、インスタントVMを作成します。インスタントVMを実行する対象のノードを選び(※3)、右クリックで[インスタントVMの作成]を選択します。
インスタントVM作成ウィザードが起動します。どの時点の復旧ポイントからVMを作るかを選択します。
次に、インスタントVMを作成する先のハイパーバイザを指定します。vSphere と Hyper-V が選択できます。今回は Hyper-V を使っています。
Hyper-Vホストの前提条件を確認します。特に問題が無いので次へ。
インスタントVMに割り当てる仮想CPUやメモリ等の設定をします。VM名は他のVMと区別できるように、デフォルトで「udpivm_」という文字が頭につくようになっています。ネットワークアダプタを追加して、バックアップ元と異なるIPアドレスを割り当てる事もできます。例えば復旧訓練としてインスタントVMが起動するか確認したい、という時には閉じたネットワークでテストできるので便利です。
最後に[完了]をクリックすると、インスタントVMを作成後すぐに起動するかどうか訊かれます。今回は[今すぐ起動]を選択。
2~3分して、インスタントVMが起動しました。
Hyper-V マネージャーでもVMが起動しているのが確認できます。
【元のサーバへのベアメタル復旧】
インスタントVMはあくまで本番サーバが壊れた時の一時的な代替サーバなので、本番サーバが復旧したらそちらを再び使うことになります。一方で、インスタントVMでは代替運用中に新しいデータが作られるので、これを本番サーバに復旧したい、という事があります。そんな時にどうするかというと、無償ハンズオンセミナーでおなじみのベアメタル復旧(BMR)が使えます!手順はいつものベアメタル復旧とほとんど同じですが、ポイントだけ見ていきましょう。
まず、ベアメタル復旧ウィザードを起動したら [仮想マシンから回復] を選択し、インスタントVMが動いているハイパーバイザの種類(vSphereかHyper-V)を選びます。ここが最初で最大のポイントです。
ハイパーバイザの認証情報を入力し、インスタントVMの情報を参照します。
現在起動しているインスタントVMを選択し、ウィザードを進めます。
本番サーバとインスタントVMの競合を避けるため、ベアメタル復旧が開始する前にインスタントVMの扱いをどうするか選択できます。迷ったら、[V2Pの前に仮想マシンをシャットダウンします]を選ぶのが無難だと思います。後は、ネットワーク経由でベアメタル復旧が行われていきます。という事で、戻し方も簡単ですよね?
【仮想スタンバイとの違いは?】
ここまで読んでいただいて、「これって昔からある仮想スタンバイと同じじゃない?」と思われる方もいらっしゃるかもしれません。確かに目的や考え方は似ているのですが、細かい点を上げるといくつか違いがあります。
仮想スタンバイは仮想基盤上に自動で仮想マシンをリストアしておく機能なので、事前にタスクを作ったりハードディスクの容量を確保しておくなど準備が必要です。その分、障害発生時の作業はインスタントVMよりもさらに少ない点が良い点です。(復旧済み仮想マシンの電源をオンにするだけで使えます。)
一方で、インスタントVMは事前の準備が不要で、思い立ったら使える手軽さが魅力です。仮想スタンバイを使うほど重要なシステムでもないけれどできれば早く業務復旧したい、というシステムにはかなり使えるのではないかと思います。
以上、ホテがお伝えしました。次回はLinux 仮想マシンのエージェントレス バックアップについてご紹介します。
[2017年11月7日追記]
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Arcserve UDP v6.5 からインスタントVMを活用して、復旧テストを自動化出来る アシュアード リカバリ 機能が追加されました。以下の記事で使い方を紹介しています。是非ご覧ください!
Arcserve UDP : リストア可能か自動で確認 ~ アシュアード リカバリ(Assured Recovery)をやってみる
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<関連記事>
※1 Arcserve UDP 7.0 からバックアップ対象が Linuxサーバの場合に限りインスタントVM先として Nutanix AHV をサポートするようになりました。
※2 Arcserve UDP v6.5 からインスタントVM先として Amazon EC2 を、Arcserve UDP v6.5 update2 からは Microsoft Azure もサポートするようになりました。両クラウドともバックアップ対象が Linuxサーバの場合に限ります。
※3 Arcserve UDP 8.0 から複数のノードを同時に選択してインスタント VM を作成/起動できるようになりました。詳しくは以下の記事をご覧ください。
Arcserve UDP 8.0 新機能紹介(3):スタンバイVM / インスタントVMの複数同時起動
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