Arcserve Replication/HA : 同期しないでサーバを再起動したい ~ ホスト メンテナンス機能
本日は Arcserve Replication/High Availability を使う上で必ず知っておきたい 「ホスト メンテナンス」 機能を紹介します。
と、その前に、まずはホスト メンテナンス機能が必要な背景から。
サーバを運用していると、ビルの計画停電や Windows Update の適用などで OS を再起動する場面があります。一方で、Arcserve Replication/High Availability は常時レプリケーションしているので、突然サーバが再起動するとどこまでレプリケーションされたのか分からなくなります。そのため、サーバが再起動すると自動で 「同期」 が行われ(※)マスタとレプリカのデータを一致させたうえで 「レプリケーション」 が再開する仕組みになっています。
※ 「同期」 は常時行われている 「レプリケーション」 とは違う処理を指す用語です。詳しくは以下の記事をご覧ください。
※ 再起動後にシナリオが自動で停止するように設定する事もできます。この場合もシナリオ再開時に 「同期」 が行われます。
ただし、「同期」 はファイル数が多かったりすると完了までに時間がかかります。そこで、「同期」 をせずに速やかに 「レプリケーション」 を再開させるための機能が 「ホスト メンテナンス」です。以下、ホスト メンテナンスの仕組みです。
マスタ サーバを再起動する前にホスト メンテナンスを実行すると、マスタ上でのファイルの更新がブロックされます。どのようにブロックするかというと、データの更新に必要なサービス(例えば、ファイル サーバ シナリオだと 「Server」 サービス)を停止します。
この間にスプールにたまったジャーナルをすべてレプリカに反映し、マスタとレプリカのデータが一致した状態になります。
その後マスタを再起動します。マスタとレプリカのデータは一致した状態なので、「同期」 が行われる必要はありません。再起動後にそのまま 「レプリケーション」 が再開します。
ここまでマスタの再起動の仕組みを紹介しましたが、もちろんレプリカの再起動でもホスト メンテナンスを使えます。レプリカとマスタのホスト メンテナンスでは、内部的な動作が少し異なります。
ホスト メンテナンスの使い方はテクニカル サポートのナレッジベースに画面付で掲載されています。これを使うことで、運用中に実行される「同期」の大半を行わずに済ませる事が出来るので、今まで使ったことが無かった!という方はこの機会にぜひ試してみてください。Arcserve RHA マネージャからだけではなく、PowerShellから実行する事もできます。
これから導入を検討している方は、無償ハンズオン セミナーでも試せるので、是非ご参加ください!
以上、ホテがお伝えしました。
[2017年10月3日追記]
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同期関連では以下の記事もあわせてお読みください。
Arcserve Replication/HA の初回の同期を早く終わらせる方法
Arcserve Replication/HA : 2回目以降の同期時間に影響するもの
Arcserve Replication/HA : 9 TB(300万 ファイル)の同期時間を測定しました! (2018年6月26日追記)
Arcserve Replication/HA : シナリオの並列実行で同期時間を短縮する (2018年6月26日追記)
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コメント
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はじめまして。
ARCserve Replicationを初めて使う身として、本サイトの情報はその仕組みを理解するうえで大変有益で、参考にさせていただいております。
ホストメンテナンスの仕組みについて記事内に下記の記載がございます。
「この間にスプールにたまったジャーナルをすべてレプリカに反映し、マスタとレプリカのデータが一致した状態になります。」
通常、マスタサーバで更新があったデータはマスタサーバのスプール領域に貯まり、そこからレプリカサーバのスプール領域に転送後、レプリカサーバのデータ領域に反映されます。
上記の説明では、レプリカサーバの"スプール"について言及されておりませんが、マスタサーバのホストメンテナンス時のレプリカサーバの"スプール"を含めた仕組みを知りたいと考えております。
マスタサーバのホストメンテナンス時には、下記のいずれの動きとなるでしょうか。
①レプリカサーバのデータ領域に直接反映後、ホストメンテナンスモードに移行する
②レプリカサーバのスプールに転送後、ホストメンテナンスモードに移行する
③レプリカサーバのスプールに転送し、スプール領域からデータ領域に反映後、ホストメンテナンスモードに移行する
以上、ご回答いただけると幸いです。
投稿: たかい | 2017年8月 7日 (月) 15時52分
たかい様
コメントをいただきましてありがとうございます!
記事中ではレプリカのスプール ディレクトリの図は省略していますが、
ジャーナル ファイルの動きは平常時と変わりありません。
マスタのスプールに蓄積していたジャーナル ファイルはレプリカのスプールに転送され、
そのジャーナル ファイルに記録された変更がレプリカに反映されていきます。
ホスト メンテナンス モード実行時点で残っていたジャーナル ファイルがすべてレプリカで処理されると、
「再起動の準備ができました」というメッセージがイベントに記録され、
マスタの再起動が出来るようになります。
ですので、たかい様のおっしゃる ③ が正しい動作になります。
投稿: ホテ | 2017年8月 7日 (月) 19時33分
はじめまして。テクニカルサポートとこちらのブログにはいつもお世話になっております。
メンテナンスモード利用について質問です。
2台のサーバーでマスター+レプリカのファイルサーバー構成を組んでいるのですが、2台同時にメンテナンス(停電のため)を、同期を発生させないように行うにはどうしたらよいでしょうか。
シナリオを停止せずに以下のようなやり方で問題ないでしょうか。どこかでシナリオを停止するべき、とか何か手順ノウハウがあれば知りたいです。
1. マスタサーバーでホストメンテナンスモードに切り替える (シナリオ停止だと、CIFS共有が生きたままになってしまいますが、ホストメンテナンスモードにすればCIFS共有が止まりますよね)
2. レプリカサーバーもホストメンテナンスモードに切り替える?
3. レプリカサーバーをシャットダウンする
4. マスタサーバーをシャットダウンする
(停電/復旧)
5. マスタサーバーを起動する (5,6の順番は逆?)
6. レプリカサーバーを起動する
7. (シナリオはどうなっている??)
# http://documentation.arcserve.com/Arcserve-RHA/Available/R16-5/JPN/Bookshelf_Files/HTML/OLH/index.htm?toc.htm?understanding_the_host_maint_opt.html を見ると、、、2台同時の際はシナリオを停止して同期を行うように、とあるのですが、、、同期に数日かかってしまうため、同期が補償されているの状態を作れるなら、再同期は避けたいのです。
投稿: かみおか | 2017年12月12日 (火) 11時45分
かみおか様
コメントをいただきましてありがとうございます!
残念ながら、マスタとレプリカを同時にホスト メンテナンス状態にすることはできません。
ご質問いただいている手順では「2.」の時点ですでにマスタがホスト メンテナンス状態になっているので、レプリカを追加でホスト メンテナンス状態にすることができません。
そのため、停電前にシナリオを停止しておき、停電明けにシナリオを再開して同期を行う、というのが正式な手順になります。
どうしても同期を行いたくないということであれば、シナリオ開始時に同期をスキップするという方法もあります。
ただし、同期を行わないとマスタ/レプリカのデータが一致していることが保証できなくなるので、その点はやはりご注意ください。
投稿: ホテ | 2017年12月12日 (火) 17時17分
はじめまして。
Arcserve Replication/High Availabilityのことを調べており、HPにたどり着きました。
大変有益な情報ばかりで感謝しています。
Arcserve Replication/High Availabilityを使用した環境で、サーバの定期リブートを自動で行いたい要件が
あります。ホストメンテナンス等、必要な手順をスクリプト化してタスクでコントロールしようと考えているの
ですが、このアプリケーションでそのような運用はメーカーサポートされるのでしょうか?
初心者な質問ですみません。
ご教示いただけますと幸いです。
投稿: SL | 2020年3月28日 (土) 13時21分
SL様
はい、Arcserve RHA PowerShell は運用を自動化するためのものなので、ぜひご活用ください!スクリプトを使っている環境でもテクニカル サポートにて技術支援をご提供いたします。
ただし、スクリプトはお客様責任で作っていただくことになっております。テクニカル サポートではスクリプト自体のデバッグや作成は行っていません。以下、Arcserve のサポート ポリシーから引用します。
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https://supportftp.arcserve.com/zendesk_attachments/202833679/Arcserve_Support_Policy_J.pdf#page=4
5. Arcserve サポートの制限事項
Arcserve は (中略) Arcserve 製品の基本機能として提供されていないコード(中略)についてテクニカルサポートを提供する義務を負いません。
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投稿: ホテ | 2020年3月30日 (月) 09時46分