Arcserve UDP : バックアップ速度の上限値を指定できるネットワーク スロットル
今日は Arcserve UDP v6.5 Update1 で追加された機能のひとつである 「ネットワーク スロットル」 を紹介します。
スロットル(Throttle)というのは流量を制御するものの事で、Arcserve UDP のネットワーク スロットルではバックアップによるネットワークの使用量を調整する事ができます。
なぜネットワークでの速度制限が必要なの?
元々、Arcserve UDPにはバックアップ速度に上限値を設ける機能があり、保護対象サーバやネットワークの負荷を抑えながらバックアップを行う事が出来ます。この従来の機能では「バックアップ対象サーバのディスクの読み取り速度」を調整します。
例えば、100MB/分という上限値を設定すると、1分間当たり最大で 100MB のデータがディスクから読み取られ、それに伴いバックアップ先に送られるデータ量も最大で 100MB/分になります。上流のディスクの読み取り速度を制御する事で、下流のネットワークの負荷も制御できるという事です。
しかし、重複排除(デデュプリケーション)機能を使う場合には少し事情が違います。Arcserve UDP の重複排除機能はソース サイド(エージェント側)で行われ、エージェントから復旧ポイント サーバ(RPS)には重複排除済みのデータが送られます。(参考:Arcserve UDP のバックアップ容量削減事例を詳しく解説!【後編】)
そのため、先ほどの例のように 100MB/分という上限値を設定してもネットワーク上にはそれよりかなり少ないデータが流れる事になります。例えば重複排除率が50%だとすると、ネットワークに流れるデータは 100MB/分の半分の 50MB/分です。
重複排除でネットワークの負担が減るのは良い事ですし、バックアップ終了までの時間は重複排除を使わない場合と変わりありません。でも、せっかくネットワークに 100MB/分までデータを流して良いのに、それより遅い速度で時間をかけてバックアップをするのはもったいないという場合もあるでしょう。
そこで開発されたのが「ネットワーク スロットル」で、ディスクの読み取り速度ではなくネットワーク速度を制御できるようになりました。
ネットワーク スロットルを設定してみる
ネットワーク スロットルを使ってみましょう。Arcserve UDP コンソールを開き、プランを作成します。Windows エージェント バックアップ タスクの [スケジュール] タブ内で [追加] ボタンをクリックし、[ネットワーク スロットル スケジュール] を選択します。
※ 重複排除を使うときのための機能なので、デスティネーション(バックアップ先)のデータストアで重複排除が有効な場合にのみ使えます。それ以外の環境では従来通り 「ディスク読み取りスロットル」 を使ってください。
[スループット制限] 欄で速度の上限値を指定します。ネットワークの速度制限という事で単位が Mbps になってます。例えば、1Gbps の LAN のうち 1割をこのサーバのバックアップに割り当てられる、というのであれば100Mbps と指定します。
曜日と時間で制限をかける時間帯を指定できるのはディスク読み取りスロットルと同じです。この例では全ての曜日で制限をかけていますが、土日は自由に LAN を使える、という事であればチェックを外してしまいましょう。
スケジュールが追加されたので、プランを保存します。
バックアップを始めました。[ネットワーク スロットル] が先ほど設定した上限値で、[ネットワーク スループット] が実際にネットワークを流れているバックアップ データの量です。あらかじめ設定した通り、10Mbps 以上ネットワークが使われていないことが確認できます。
このネットワーク スロットルはネットワークに負荷がかかり過ぎないよう制限を設ける機能です。バックアップ速度に制限がかかる分バックアップ時間は長くなりますので、あまり制限をきつくし過ぎないよう注意してください。
また、ネットワークではなくバックアップ対象サーバにかかる負担を抑制したい、という場合には従来からあるディスク読み取りスロットルの方が使い勝手が良いです。
Arcserve UDP v6.5 Update1 ではこのように細かい機能改善が多くなされています。興味のある方はリリース ノートを読んでみてください。また Arcserve UDP v6.5 Update1 自体はサポート ページでダウンロードできます。
以上、ホテがお伝えしました。
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