Arcserve UDP : リストア可能か自動で確認 ~ アシュアード リカバリ(Assured Recovery)をやってみる
今日は、Arcserve UDP v6.5 の新機能であるアシュアード リカバリの設定手順を紹介します。
この機能は、バックアップしたデータが本当にリストアに使えるか事前に自動で確認しておいてくれる、という機能です。以前当ブログで Arcserve RHA の同名の機能を紹介しましたが、考え方はまったく一緒です。(参考記事 : Arcserve RHA : 復旧訓練にレポート作成、色々役に立つアシュアード リカバリ)
※ なお、この機能を使うには Premium Edition または Premium Plus Edition のライセンスが必要です(※1)。
Arcserve UDP のアシュアード リカバリではインスタントVMを使って仮想マシンを立ち上げてみる方法と、バックアップデータを仮想ディスクとしてマウントして中身をチェックする方法があります。しつこいですが、いずれも自動でやってくれるというのがポイントで、バックアップ対象台数が多い環境でも手間なく繰り返し復旧テストを行えます。
という事で、前振りはこれくらいにして、アシュアード リカバリの使い方を見ていきます。
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<目次>
1. インスタントVMを使ったアシュアード リカバリ
2. インスタント仮想ディスクを使ったアシュアード リカバリ
3. 手動でテストする事もできます(v6.5 Update1 以降)
4. レポートで結果をまとめて確認
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まず、インスタントVMを使ったアシュアード リカバリを設定してみましょう。あらかじめ作っておいたプランに 「アシュアード リカバリ テスト」 という種類のタスクを追加します。
[ソース] タブではどの復旧ポイントに対してアシュアード リカバリ テストを実施するかを選べます。「最新の復旧ポイント」を選ぶとバックアップが終わる度にテストが行われるのですが、毎回やるのもうっとおしいという事であれば週次や月次を選びます。
[テスト設定] タブで細かい設定を決めていきます。まず、一番上の [テスト タイプ] で 「インスタントVM」 を選択します。後は、インスタントVMを起動させるハイパーバイザーを指定したり、インスタントVMに割り当てるCPUやメモリ、ネットワークを設定していきます。いままでのインスタントVMの設定とほぼ同じですね。(参考記事:Arcserve UDP v6 新機能紹介 ~ (2) 仮想マシンとして即時復旧 (インスタントVM) ~)今回はインスタントVM を起動させるハイパーバイザとして Hyper-V サーバを選択しました。
[スケジュール] タブではアシュアード リカバリ テストを実行して良い時間帯を指定できます。デフォルトではスケジュールが設定されていないので、バックアップが完了し次第アシュアード リカバリ テストが行われます。
[拡張] タブでインスタントVMが起動しているか確認するための待ち時間([タイムアウト])やインスタントVMが正常に動作しているかを確認するためのスクリプトを設定できます。アシュアード リカバリ テストの結果をメール通知する設定もここでやります。ただ、テスト対象の台数が多いとメールの数が増えて大変になるので、後で紹介するレポート機能も利用してください。
プランを保存し、バックアップを実行するとバックアップ完了後に早速インスタントVMが起動しました。このVMはテストが終わると自動で削除されます。
参考までにアシュアード リカバリ テストのアクティビティ ログです。クリックすると拡大して見られます。
2. インスタント仮想ディスクを使ったアシュアード リカバリ
次に、インスタント仮想ディスクを使ったアシュアード リカバリを設定してみます。先ほどと同じようにプランに [アシュアード リカバリ テスト] タスクを追加します。なお、[ソース] タブと [スケジュール] タブの設定はインスタントVMのアシュアード リカバリ テストとまったく一緒なので説明を省略します。
[テスト設定] タブで [テスト タイプ] に 「インスタント仮想ディスク」 を選択します。[Windows プロキシ サーバ] はインスタント仮想ディスクをマウントするサーバで、今回は RPS として使っている Windows サーバを指定しました。[仮想ハード ディスク ファイル フォルダ] はインスタント仮想ディスクをマウントするフォルダです。
[拡張] タブでテスト内容の詳細を設定できます。デフォルトでは [チェックポイント] として 「ファイル システムの確認」 だけが有効で、マウントしたインスタント仮想ディスクのファイル システムとサイズがバックアップ元と同じかどうか確認するようになっています。「チェック ディスク コマンドを実行」 を有効にすると、仮想ディスクに対して chkdsk コマンドを投げてファイルシステムの整合性を確認するようになります。
プランを保存しバックアップを実行すると、バックアップ完了後にアシュアード リカバリ テストが始まりました。プロキシ サーバ上のフォルダに仮想ディスクが見えます。
インスタント仮想ディスクはバックアップデータを仮想的にマウントしているだけなので、プロキシ サーバのディスクはほとんど使いません。インスタント仮想ディスクが保存されているフォルダのプロパティを見てみると、[ディスク上のサイズ] がわずか 9.01 MB でした。このインスタント仮想ディスクもテストが終われば自動で削除されます。
これも、参考までにアクティビティ ログです。画像をクリックして見るとアシュアード リカバリ テストで何をやっているのか分かります。
3. 手動でテストする事もできます(v6.5 Update1 以降)
Arcserve UDP v6.5 update1 から、アシュアード リカバリ テストを手動で行う事もできるようになりました。ノードの一覧画面から右クリック メニューで [今すぐアシュアード リカバリ テストを実行] をクリックします。
テストを実行したい復旧ポイントを選んで、[OK] をクリックすればテストが始まります。直近の復旧ポイントだけではなく、過去の復旧ポイントもテストする事ができます。ちなみに、[アシュアード リカバリ] 列で黄色い!マークがついているのはテスト未実施の復旧ポイントで、緑のチェックマークがついているのがテスト成功済みの復旧ポイントです。
アシュアード リカバリ テストの結果はメールで通知する事ができますが、テスト対象の台数が多いとメールを確認するのが大変です。そこで、活用したいのが、アシュアード リカバリと同じく Arcserve UDP v6.5 の新機能である、ジョブ ステータス レポートです。
Arcserve UDP コンソールの [レポート] タブを開き左ペインで [ジョブ ステータス レポート] を開いた画面がこちら。このままだとバックアップやリストアなど他の種類のジョブも混じって見えるので、フィルタを使ってアシュアード リカバリ テスト ジョブの結果だけに絞ります。画面右上の矢羽(下の画像で赤丸を付けているところ)をクリックします。
フィルタが展開されるので [ジョブの種類] の中から 「アシュアードリカバリ」 を選択します。
アシュアード リカバリ テスト ジョブの結果だけが表示されました!なお、このレポートは自分から見に行くだけではなくて、メールに添付して通知する事もできます。詳しい設定方法は以前の記事(Arcserve UDP:一通のメールで全台のバックアップ状況をチェックできる ~ レポートのメール送信)をご覧ください。
Arcserve UDP のようなバックアップ ソフトはバックアップして終わりではなくて、いざ障害が起きた時にきちんとシステムを復旧するためのものです。とはいえ、リストアの試験は時間も手間もかかるので、運用が始まってしまうとなかなか行えないのも事実ではなかったかと思います。
ここまで紹介した通り、アシュアード リカバリ機能は復旧のための点検作業を自動化して無理なく行う事ができます。Arcserve UDP Premium / Premium Plus Edition のライセンスをお持ちの方は、ぜひ使ってみてください(※1)。
以上、ホテがお伝えしました。
※1 2023年1月にリリースされた Arcserve UDP 9.x 以降では、標準ライセンスの Advanced Edition でアシュアード リカバリを利用できるようになりました!!
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