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2018年5月29日 (火)

Arcserve UDP:テープへの二次バックアップ時間を短縮する新機能

当ブログのアクセス ランキングでも上位になっている、Arcserve UDP のテープへの二次バックアップ機能ですが、2018年 2月にリリースされた Arcserve Backup r17.5 SP1 でさらに機能が強化されました。リリース ノートに載っている、「Arcserve UDP 復旧ポイント サーバを使用した UDP データ ストアのバックアップ」がそれです。具体的には、Arcserve Backup でソース(バックアップ対象)を指定する画面で、Arcserve UDP のデータ ストアをまるっと選択できるようになりました。

 

01_source

(赤下線部分が今回の新機能)

 

これで何が良くなるかと言うと、特にデータ ストアでデデュプリケーション(重複排除)が有効になっている環境でバックアップの時間が短くなります!!
※ Arcserve UDP 7.0 & Arcserve Backup 18.0 以降ではこの方式で増分バックアップも組み合わせられるようになり、さらに時間が短縮できるようになりました。

今までからあった方法(特に呼び方が決まっていないので、この記事では勝手に「ノード指定方式」と呼びます)と今回の新機能(これも勝手に「データ ストア指定方式」と呼びます)の仕組みを図で並べてみます。

02_node_2

03_datastore_2
(仕組みの比較)

 

ノード指定方式では重複排除された一次バックアップ データを元に戻してから二次バックアップ先に書き込みます。

一方で、データ ストア指定方式では重複排除された一次バックアップ データをそのまま二次バックアップ先に書き込みます。重複排除を元に戻すという作業が無い分高速で、書き込むデータも重複時排除されて少なくなっているので、二重にバックアップ時間が短くなります!!

ただし、データ ストア指定方式にもデメリットはあり、二次バックアップ先から直接ファイル単位でリストアできません。ファイル単位でのリストアは、データ ストア全体をリストアした上で、Arcserve UDP の機能でファイルをリストアするという段取りです。なので、テープから直接ファイルをリストアする事が良くある、という方はこれまで通りノード指定方式を使うのが良いでしょう。

ノード指定方式 データ ストア指定方式
・ノード単位で二次バックアップする
・二次バックアップ先から直接ファイル単位リストアできる
・重複排除を解除して二次バックアップする
・直近の復旧ポイントを二次バックアップする
・データ ストア単位で二次バックアップする
・二次バックアップ先から直接ファイル単位リストアできない
・重複排除されたまま二次バックアップする
・過去の復旧ポイントも二次バックアップする
・増分バックアップも行なえる(Arcserve UDP 7.0 & Arcserve Backup 18.0 以降)

(両方式の違い)

 

最後に Arcserve で行ったベンチマーク テストの結果を紹介します。理屈通り速度が向上し容量も減ったため、バックアップ時間は半分近くまで短くなっています。

  ノード指定方式
(カタログ生成無効)
データ ストア指定方式
スループット 4.53GB/分 6.84GB/分
バックアップ容量 117.93GB 92.97GB
バックアップ時間 25分53秒 13分35秒

(バックアップ時間の比較)

※ スループットの単位が誤っていたので訂正しました(2018年6月26日)

※ 効果は環境により異なりますのでご注意ください。このテストではバックアップ元(Arcserve UDP のデータ ストア)とバックアップ先(Arcserve Backup のファイル システム デバイス)が同じサーバの同じ物理ディスクの上にあるので、両方式とも速度は遅いほうかなと思います。。。

 

以上、ホテがお伝えしました。テープへの二次バックアップに時間がかかる、という方は是非お試しください。

 

[2018年6月1日追記]
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この記事で紹介しているデータ ストア指定方式を使うに当り、
Arcserve Backup Agent for Open Files のライセンスは必要ありません。

ノード指定方式と同じく、Arcserve UDP Advanced Edition だけ購入すれば OK です。
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[2019年11月21日追記]
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Arcserve UDP 7.0 & Arcserve Backup 18.0 以降ではデータ ストア指定方式で増分バックアップを行なえます。

増分バックアップであれば更にバックアップ時間が短縮できるので、「週次フル + 日次増分」というような組み合わせで毎日テープに二次バックアップを行なうことも現実的になりました。

詳しくは以下のマニュアルをご覧下さい。

方法 2: データ ストアからの Arcserve UDP データのバックアップ

また、Arcserve Backup 18.0 では以下のパッチ適用が必要です。

P00001594 | Arcserve UDP 復旧ポイントサーバ (RPS) のデータストア データのバックアップに関する修正と機能拡張について

P00001871 | Arcserve Backup 18.0 | 復旧ポイント サーバ (RPS) データ ストアのバックアップに関する機能拡張と累積修正
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コメント

興味深いサイトのため、よく拝見させていただいております。

担当しているお客様向けにほぼ同様の構成を先月末に導入しました。
テープバックアップの時間短縮が要件として一番強かったので、
 ・バックアップサーバ(Arcserve UDP v6.5U3+Arcserve Backup r17.5)をSSDで構成し、RPS重複排除データストアごとにWindowsドライブを一つ用意
 ・Arcserve Backupで重複排除データストア(index,data,datastore,hash)をImage Optionを使用し、ドライブ丸ごとテープバックアップ
 ・LTO7単体ドライブへ書き込み
の構成にしました。書き込み速度が12GB/分程度の速度しか出ておらず、お客様より遅いと怒られています。。

記事にあります、「ノード指定方式」についてですが、私が構築した構成より高速になりますでしょうか?
非常に興味深い記事でしたので、質問させていただきました。

KO 様

コメントいただきありがとうございます!

まず、お詫びしなければいけない点として、
記事中のベンチマーク テスト結果でスループットの単位を「GB/分」と書くべきところを、誤って「GB/秒」と書いてしまっておりました。
間違った情報を掲載してしまい申し訳ございませんでした。記事は早速訂正しました。


単位を修正した、ベンチマーク テストでの正しいスループットは以下です。KO 様が構築した環境の 12 GB/分 の方がかなり速いです。

 ノード指定方式のスループット 4.53 GB/分
 データストア指定方式のスループット 6.84 GB/分

KO 様の構成では Image Option でドライブ丸ごとバックアップしているので、仕組みとしてはデータ ストア指定方式に近いです。
これをノード指定方式に変えると逆に時間が長くなるので、バックアップ方式は変えない方が良いです。

なお、以前 LTO7(SAS 接続)への二次バックアップのベンチマークも行いましたが、スループットは 8.98 GB/分 でした。
この事からも現状の 12 GB/分 は速い方だと言えるのではないかと思います。

参考 : UDP アプライアンス : LTO7 へバックアップしました
https://arcserve.txt-nifty.com/blog/2017/07/udp-lto7-8d6e.html

「Arcserve UDP のバックアップ データのテープへの2次バックアップ」を検討しているうちにたどり着きました。

御社の下記ナレッジに「Arcserve UDP のバックアップ データをテープにバックアップする方法について」という記事が記載されておりますが、
本ブログ記事に記載されている「データストア指定方式」というのは、下記ナレッジに記載の「方式2」と同じという認識で間違いないでしょうか?
またその場合、ナレッジに記載のように、ArcserveBackupのライセンスとしては「Tape Integation for Arcserve UDP」が必要になりますでしょうか?

「Arcserve UDP のバックアップ データをテープにバックアップする方法について」
https://support.arcserve.com/s/article/2019053001?language=ja

サポートには本記事の内容の問い合わせはできないということで、こちらにて質問させていただきます。

GU 様

コメントいただきましてありがとうございます!

ご質問の件はご認識の通りです。本ブログ記事で紹介している「データストア指定方式」は、引用いただいている KB の「方法2」に該当します。

ライセンスについてもご認識の通りです。この「データストア指定方式(方法2)」で必要なライセンスキーは「Arcserve Backup Tape Integration for Arcserve UDP」です。このキーは Arcserve UDP Advanced Edition 以上を購入すると同梱されるので、別途購入いただく必要はございません。

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