Arcserve UDP はサーバや PC をバックアップして丸ごと復旧できるイメージバックアップ ソフトですが、実は、物理環境から仮想への移行(P2V:Physical to Virtual)ツールとしても広く活用いただいています。
移行作業はシステムの停止を伴うため、できる限り速やかに確実に行う必要があります。そんな場面で Arcserve UDP が備えているシステム復旧の機能が役に立ちます。
そこで、この記事では Arcserve UDP を使ったシステム移行の方法を2つ紹介します。
移行方法1 : ベアメタル復旧(BMR)
Arcserve UDP の前身である Arcserve D2D の時代からある基本的な方法です。
このベアメタル復旧では、OS がインストールされていない空の状態のサーバや PC にシステムを丸ごと復旧します。P2V という事であれば、あらかじめ移行先の仮想基盤に空の仮想マシンを作っておき、そこに移行元サーバのバックアップからベアメタル復旧を行います。
ベアメタル復旧が優れている点は、対応範囲の広さです。
移行対象の OS としては Windows と Linux(Red Hat Enterprise Linux、 CentOS、 Oracle Linux、 Suse Linux Enterprise Server、 Debian、 Ubuntu)に対応しており、移行先の仮想基盤も vSphere、Hyper-V、Nutanix AHV、KVM、Citrix XenServer などに幅広く対応しています。詳しくは以下の動作要件をご覧ください。
Arcserve UDP 動作要件一覧
ベアメタル復旧で異なるサーバにシステムを移行する上でのポイントは「ドライバ」です。
新しい環境ではその環境に合ったドライバが必要になることがあるので、移行前に新環境用のドライバを OS にインストールした状態でバックアップを取得しておくと良いでしょう。ベアメタル復旧の際に使用する復旧メディアにドライバを組み込んでおくこともできます。
移行方法2 : 仮想スタンバイ
ベアメタル復旧よりも移行時間を短縮できるのが仮想スタンバイです。
仮想スタンバイではバックアップデータから移行先の仮想基盤に仮想マシンを自動作成します。初回の仮想変換以降はスナップショットを追加していくことにより、最新のバックアップの時点での復旧が可能です。
移行できる OS は Windows に限ります。移行先の仮想基盤は vSphere、Hyper-V、Nutanix AHV に対応している他、Amazon EC2 と Microsoft Azure にスタンバイ VM を作成することも可能です。
仮想スタンバイの使い方は以下の記事と資料をご覧ください。特に、「Arcserve UDP v5/v6 仮想スタンバイの構築と復旧ガイド」の後半には、仮想マシンの UUID や SID、MAC アドレスがどのように扱われるのかが書いてあります。
Arcserve UDP 機能紹介 ~ (12) 仮想マシンへの自動復旧(仮想スタンバイ) ~
Arcserve UDP v5/v6 仮想スタンバイの構築と復旧ガイド
移行当日は増分バックアップでシステムの停止時間を短縮
最新のデータ/システム状態を移行するために、移行作業の当日にまずバックアップを行います。その後、このバックアップ データからベアメタル復旧や仮想スタンバイで、新環境に仮想マシンを作成していきます。
本来、Arcserve UDP は OS やアプリケーションを動かしながらのオンライン バックアップが可能です。しかし、移行当日のバックアップを始める前には、サービス(例えばファイル サーバであれば Server サービスなど)を停止して、データが更新されないようにしておきます。こうすることで、どの時点のデータが新しい環境に移行されるのかを明確にすることができます。
また、移行作業日より前に初回のフルバックアップを済ませておきましょう。移行当日のバックアップは増分バックアップになるので、システムの停止時間もその分短縮することができます。
Arcserve UDP を使った P2V/V2V(※1) 事例
仮想化環境への移行ツールとして Arcserve UDP をご利用いただいた事例の記事を2点ご案内します。
霧島ホールディングス様:Arcserve UDP Appliance で実現する仮想化基盤へのサーバ移行
国際基督教大学様:新仮想化基盤へのシステム移行(V2V)に Arcserve UDP Appliance を活用
いずれのお客様も Arcserve UDP がプリインストールされた Arcserve UDP Appliance を購入されており、移行ツールとして使った後は本来の用途である新仮想化基盤のバックアップにご利用いただいています。
このように、バックアップ目的で Arcserve UDP を購入するのであれば、P2V ツールとして新たに費用が発生しない、という点も見逃せないポイントです。
既に Arcserve UDP のライセンスをお持ちで、仮想化基盤の移行の予定がある方は、Arcserve UDP を使う事を検討してみてはいかがでしょうか?
以上、鉄道大好きエヌエスでした。
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※1 仮想から仮想(V2V)のシステム移行というパターンもあります。この場合、ハイパーバイザーの種類が同じであれば(例えば ESXi から ESXi)、仮想マシンのエージェントレス バックアップから「VMの復旧」というリストア機能が使えます。「VMの復旧」では仮想マシンを丸ごと作成してくれるので、ベアメタル復旧よりも手間が1つ省けます。
ハイパーバイザをまたいだ仮想マシンの移行については、以下の記事もご覧ください。
Arcserve UDP ならハイパーバイザの移行もお任せ