「VDP」の次は Arcserve 「UDP」 でどうでしょう?
vSphere 仮想マシンをバックアップするツールとして、VMware が提供しているバックアップ機能に vSphere Data Protection(以下「VDP」)があります。この VDP は既に提供終了が告知されており、vSphere 6.5 が VDP が提供される最後のバージョンです。
また、VDP の最新バージョン 6.1 自体も ジェネラル サポートが 2020年3月12日に、テクニカル ガイダンスが 2022年3月12日にそれぞれ終了する予定になっており、Arcserve にも VDP の代わりのバックアップ ソフトを検討しているというご相談を良くいただいています。
そこで、今回は VDP を使っている方が、Arcserve Unified Data Protection(以下 Arcserve UDP) というバックアップ ソフトに乗り換える際のポイントをご紹介します。
----------------------------
目次
1. そもそも何で Arcserve UDP?
2. Arcserve UDP にすると構成はこう変わる
3. Arcserve UDP で必要なライセンスはこれだけ
4. この機会にバックアップ環境の統一や災害対策(遠隔バックアップ)も検討してみては?
----------------------------
■ 1. そもそも何で Arcserve UDP?
Arcserve が販売しているソフトの中で、vSphere 仮想マシンをバックアップできるのは「Arcserve UDP」と「Arcserve Backup」の 2 つがあります。ただ、VDP の後継として考えるのであれば、ほとんどの場合 Arcserve UDP で十分な上、簡単で安上がりなので、この記事では Arcserve UDP に絞って話を進めます。
※ ちなみに、Arcserve Backup は「テープに直接バックアップしたい」、「バックアップ対象に Lotus Domino や Unix がある」というときに活躍します。
さて、バックアップ ソフトを変更するに当り、これまで VDP でできていた事が同じようにできるのか、というのが一番気になるところだと思います。Arcserve UDP は以下に挙げるとおり、仮想マシンのバックアップ/リストアに必要な機能を十分に備えています。
(Arcserve UDP はエージェントレスで仮想マシンの高度なバックアップを両立)
(1)管理画面が日本語
当たり前のことではありますが、Arcserve UDP は画面/マニュアルとも完全に日本語化されています。他社のバックアップ ソフトでは英語のマニュアルを見ながら四苦八苦して使い方を覚えるという話も聞きますが、Arcserve UDP ではその必要はありません。無償のハンズオン(実機)トレーニングも定期的に開催しており、これから Arcserve UDP を使い始めるという方のサポートもばっちりです。
(2)仮想マシンへのインストールは不要
Arcserve UDP は VDP と同様 vSphere 仮想マシンのエージェントレス バックアップに対応しており、バックアップ対象サーバにエージェントをインストールする必要はありません。
(3)フル バックアップは初回のみ
Arcserve UDP も変更ブロック トラッキング(CBT)と連携して継続的に増分バックアップを行なえます。フル バックアップを定期的に行なう必要はありません。
(4)リストアは仮想マシン単位でもファイル単位でも可能
エージェントレス バックアップではありますが、ファイル単位のリストアも可能です。Arcserve UDP ではバックアップ サーバ経由でファイルをリストアできるので、この点は VDP より使い勝手が良くなるポイントです。
(5)幅広いプラットフォーム対応
Arcserve UDP の対応プラットフォームは VDP よりも広く、vSphere 6.7 以降のハイパーバイザーはもちろん、MS SQL Server、Exchange Server、SharePoint Server、Active Directory、Oracle Database 等の Windows アプリケーションのオンライン(無停止)バックアップも行なえます。オペレーティング システム(OS)は、Windows に限らず vSphere がサポートしているものは何にでも対応しており、Red Hat や CentOS 等の Linux サーバをバックアップするというケースも良くあります。
詳しい動作要件は以下をご覧下さい。
■ 2. Arcserve UDP にすると構成はこう変わる
VDP から Arcserve UDP に切り替えたときに良い意味で大きく変わるのが、バックアップ サーバの構成です。VDP ではアプライアンス当りのストレージ サイズは 8 TB が最大なので、容量が大きい環境では VDP アプライアンスを複数導入する必要があります。また、VDP アプライアンス毎にログインして管理する必要があるので、台数が多いと管理も大変なのではないかと思います。
Arcserve UDP ではバックアップ先ストレージの容量制限はなく、バックアップジョブの同時実行数も設定で増やせる(*1)ので、VDPアプライアンスに相当するバックアップ プロキシがむやみに増えるという事はありません。また、複数バックアップ プロキシを立てる場合でも 1台の管理サーバ(Arcserve UDP コンソール)にログインするだけでバックアップを統合管理できます。大きい環境であればあるほど、バックアップの運用管理が今までよりもシンプルになります。
(Arcserve UDP なら大規模な仮想基盤のバックアップが楽になります。)
Arcserve UDP ではバックアップ プロキシの位置などにより「HotAdd」「SAN」「NBD/NBDSSL」の3種類の転送モードを選べます。VDP ではバックアップ サーバが仮想アプライアンスになるので、HotAdd 転送モードを使っている方が多いと思います。Arcserve UDP でもバックアップ プロキシを VM として立てる事で同じ構成が可能です。
外部にバックアップ プロキシを立てる場合は、SAN や LAN 経由でバックアップする事になります。この際、バックアップ プロキシとバックアップ データの保存先のストレージを1台の Windows サーバにまとめる事もよくあります。なお、Arcserve UDP にはそれ自身に重複排除機能があるので、バックアップ先として重複排除専用ストレージを買う必要もありません。
いずれの転送モードを使うにせよ、仮想基盤の障害にも対処できるように、バックアップ データがバックアップ元とは物理的に分かれたストレージに保存されるよう設計して下さい。
ジョブの設定方法は VDP と似ており、Arcserve UDP で「プラン」という設定の雛形にバックアップ対象の仮想マシンを追加していきます。仮想マシンごとにジョブを設定しなければいけないという事はありません。また、vSphere 環境では仮想マシンを自動検出して自動でプランに追加する事もできるので、VM の出入りが多い環境では便利です。
■ 3. Arcserve UDP で必要なライセンスはこれだけ
Arcserve UDP では、一番安い Advanced Edition というエディションでほとんどの機能が使えます。Advanced Edition の価格は 1 物理 CPU 当り 11万6千円(1年メンテナンス付)です(*2)。例えば、バックアップ対象の仮想基盤が 2つの物理 CPU を搭載した ESXi サーバ 1台であれば、11万6千円 × 2CPU × 1台 = 23万2千円で OK です。有償のサードパーティ製ソフトウェアといっても、システム全体で大きく費用が変わるわけではありません。
(詳しくは Arcserve UDP のライセンス ガイドを参照して下さい。)
さらに、バックアップ対象の台数が多いのであれば、Arcserve UDP Appliance も選択肢の一つです。これは、Arcserve UDP がプリインストールされたバックアップ サーバで、保護対象の CPU 数の制限なくバックアップできます。また、Arcserve UDP 全般に言えることですが、バックアップデータの保存先に重複排除専用ストレージを買わなくても良いので、システム全体の導入費用が下がる事もあります。
(Arcserve UDP Appliance 8000 シリーズ の紹介資料から抜粋)
■ 4. この機会にバックアップ環境の統一や災害対策(遠隔バックアップ)も検討してみては?
VDP のバックアップ対象は vSphere 仮想マシンのみですが、Arcserve UDP は「Unified Data Protection(= 統合データ保護)」という名前の通り vSphere 以外のハイパーバイザー(Hyper-V/Nutanix AHV)や物理の Windows/Linux サーバ、PCにも対応しており、1つの管理画面で設定/管理を完結できます。バックアップ ツールがシステム毎に分かれていると、バックアップが毎日/毎週成功しているかを確認するだけで一苦労ですが、Arcserve UDP にまとめてしまえば、この手間とコストを解消できます(*3)。
Arcserve UDP はメール通知機能も優秀で、複数のジョブの結果をグラフ付のレポート メールでまとめて確認できます。失敗したジョブだけ通知するという事ももちろん可能です。しつこいですが、メールはちゃんと日本語です。
また、災害に備えて遠隔地やクラウドにバックアップ データを複製できる他、仮想スタンバイやインスタントVMという機能でシステムを即時復旧する事もできます。これらがすべて、一番安い Arcserve UDP Advanced Edition の機能で使えます。
以上、VDP を使っている方向けに、次のバックアップ ソフトの候補として Arcserve UDP を紹介しました。Arcserve UDP を使えば VDP と同じように仮想マシンをバックアップする事はもちろん、運用の手間とコストを抑えたり、災害対策まで範囲を広げる事もできます。VDP サポート終了をきっかけに、より安全で簡単なバックアップの仕組みを考えてみてはいかがでしょうか。
実際に触ってみたいという方は無償ハンズオンセミナーや無償トライアルもあるので、ぜひお試しください。また、ライセンスの考え方を詳しく知りたいという方は、Arcserve ジャパンダイレクトにお問い合わせください。
ホテがお伝えしました。
*1 以下の検証レポートでは Arcserve UDP を使って50台の仮想マシンを同時にバックアップしています。十分なスペックがあれば、1台のバックアップ サーバで多数の VM を高速にバックアップ/リストアできる事が確認できています。
Arcserve UDP 7.0 仮想環境における大規模並列バックアップ検証レポート
*2 2023年4月4日時点で最新バージョンの Arcserve UDP 9.x の価格です。最新バージョンの価格表は以下のページをご確認ください。
購入方法と製品価格表
*3 こちらの導入事例では、これまで 30~40 分かけていたバックアップ状況の確認が Arcserve UDP の導入で数分に短縮されています。
光華女子学園様導入事例
« 耳より情報:Arcserve UDP Cloud Directのバックアップ時間、サイズ、課金は? | トップページ | バックアップ データを暗号化する方法まとめ(Arcserve UDP / Arcserve Backup) »
「Arcserve UDP」カテゴリの記事
« 耳より情報:Arcserve UDP Cloud Directのバックアップ時間、サイズ、課金は? | トップページ | バックアップ データを暗号化する方法まとめ(Arcserve UDP / Arcserve Backup) »
コメント