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2019年12月17日 (火)

Arcserve UDP 復旧ポイント サーバ(RPS)の容量計算が簡単になります!

Arcserve UDP の発売以来、多くのお客様に使われているのが重複排除機能です。上手に活用する事でバックアップ ストレージの費用を節約したり、環境によってはバックアップ時間や遠隔地へのレプリケート時間を短縮する事もできます。

ただ、重複排除機能を使い始める際に悩ましいのが、バックアップ ストレージの容量見積もり(サイジング)です。容量計算に重複排除率という変数が増えるほか、バックアップ データを管理する復旧ポイント サーバ(以下「RPS」と省略)の物理メモリ(RAM)容量にも気を使う必要が出てきます。

そこで今回、必要な情報を入力するだけで、RPS に搭載する必要がある HDD とメモリ、 SSD の容量を計算できるツールを Web に公開しました。これから RPS のスペックを計算しなければという方はもちろん、バックアップ設計のヒアリング シートとしても活用してください。以下の URL から Excel ファイルをダウンロードして使います。

Arcserve UDP 復旧ポイント サーバ(RPS)サイジング ツール(*1
https://www.arcserve.com/wp-content/uploads/2019/12/udp-rps-sizing-tool.xlsx

■ Arcserve UDP 復旧ポイント サーバ(RPS)サイジング ツールの使い方

さて、今日はこのツールの使い方も説明します。ファイルを開くとまず目に入ってくるのが以下の [RPSスペック計算シート] というシートです。このうち、上部の背景がオレンジ色のセルが個別に入力する項目で、計算結果が背景が灰色のセルに表示されます。

01_rpsestimation

以下、それぞれの入力項目を説明します。

・年間データ増加率(%)
バックアップの対象になるデータの増加率です。この値を元に、現時点から 5 年後までの RPS の必要容量を計算できるようになっています。企業/団体が扱うデータの量は毎年 15% ずつ増えていく、と言われている事から、初期値を 15% にしています。

 

・日々のデータ変更率(%)
日次増分バックアップ容量を計算するのに使います。バックアップ対象システムの使われ方によって変動する値ですが、お客様の事例を見ていると 1~3% の間に収まるケースが多いです。

こちらの記事に変更率(増分率)の事例をまとめています。

Arcserve UDP の事例から分かる増分率と重複排除/圧縮率の傾向

 

・重複排除ブロックサイズ(KB)、重複排除/圧縮によるストレージ容量の削減率(%)
Arcserve UDP が重複排除を行なう際に、データを区切る単位がこのブロック サイズです。ブロック サイズを小さくすると重複排除の効率が高くなる代わりに、ハッシュ値を展開・保存するメモリ(または SSD)の必要容量が増えます。逆に、ブロック サイズを大きくすると重複排除が弱くなる代わりに、メモリ/SSD の必要容量が減ります。Arcserve UDP v6.0 以降では ブロック サイズのデフォルト値は 16 KB です。

RPS の必要メモリ容量が多すぎるという場合は、この値を 32 KB や 64 KB に変更してみて下さい。ただ、このツール上でブロック サイズを変更しても重複排除率は自動で調整されません。ブロックサイズを上げた場合は、重複排除率も気持ち小さくするとよりリアルな計算ができます。

ブロック サイズを変更する事で、重複排除率にどのような影響があるかは、以下の事例が参考になります。

Arcserve UDP のバックアップ容量削減事例を詳しく解説!【後編】

 

また、実際にバックアップ対象データを調べて、重複排除率を測定する事もできます。ここまでやると、サイジングの精度がかなり高くなります。

Arcserve UDP v6 新機能紹介 ~ (5) キャパシティ プラニング ツールでバックアップ サーバのサイジングをより正確に ~

 

・バックアップの世代数
保存するバックアップ(復旧ポイント)の数を入力します。日次/週次/月次それぞれの世代数を入力できますが、例えば週次/月次バックアップは行なわないという事であれば、これらの数字は 0 にして下さい。

 

■ 計算結果の見方

ここまで必要事項を入力すると、灰色網掛け部分に計算結果が表示されます。 RPS のサイジングに当り見ていただきたいのは以下の項目です。

・必要なメモリ容量(SSDモード/RAMモード)、重複排除用 RAM / SSD 容量
Arcserve UDP の重複排除機能ではバックアップ済みのデータ ブロックを素早く判別するために、バックアップ済みデータのハッシュ値を計算し、RPS のメモリに展開します。

デフォルトの RAM モードだとすべてのハッシュをメモリに展開するので、多くの物理メモリが必要になります。この場合の必要なメモリ容量は [必要なメモリ容量 (RAMモード)] を確認します。

また、ハッシュの保存先として SSD を使う(*2)事で、バックアップ速度にあまり影響出さずにメモリの使用量を節約できます。この場合、必要なメモリ(*3)の容量は [必要なメモリ容量 (SSDモード)] を、SSD の容量は [重複排除用 RAM / SSD 容量] を確認します。

 
・必要な HDD 容量
バックアップ データの保存に必要な、RPS のローカル ディスクの容量です。バックアップ データの保存先は物理的には RPS の内蔵ディスクに限らず、直接接続のストレージ(DAS)や SAN ストレージを使う場合もあります。なお、バックアップ先を NAS にする事もできますが、重複排除に必要なハッシュとインデックスだけは必ず RPS 内に保存して下さい。ハッシュやインデックスが RPS の外部にあると、バックアップやリストアの速度が低下します。

 

以上、ホテがお伝えしました。

 


*1 名前の通りこのツールは復旧ポイント サーバ(RPS)の必要スペックを求めるものです。Arcserve UDP コンソールやエージェントレス バックアップ プロキシと兼用する場合は、以下の資料を参考にこれらの必要スペック(主にメモリ)も加算してください。

Arcserve UDP 7.0 サーバ構成とスペック見積もり方法

*2 RPS に SSD を搭載すれば自動で SSD モードになるというわけではないので注意が必要です。SSD モードを有効にするには、RPS にデータストアを作成する際に [ハッシュ デスティネーションは SSD (Solid State Drive)上にある] というチェック ボックスにチェックを入れるとともに、ハッシュ デスティネーションとして SSD のドライブ上のパスを指定する必要があります。これをやらないと、せっかく RPS に SSD を搭載しても RAM モードとして動作してしまい、ハッシュ値がすべてメモリに展開され、物理メモリ不足でバックアップ速度が低下したり、データストアが止まったりする事もありえます。

*3 SSD モードにしても、メモリが全く必要なくなるわけではありません。RPS では OS や Arcserve UDP を動作させるのにも一定の容量のメモリを必要とします。詳しい考え方は以下の資料もご覧下さい。

Arcserve UDP 7.0 サーバ構成とスペック見積もり方法

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