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2020年4月21日 (火)

Arcserve UDP:AD オブジェクト単位リストアでの競合解決

Arcserve UDP では Active Directory のオブジェクト(コンピューターやユーザーなど)をリストアできます。

オブジェクト単位のリストアでは、リストア先にすでに存在するオブジェクトとの競合をどのように解決するかが課題になります。Arcserve UDP ではリストア実行時のオプション(下の画面)で競合時の扱いを決められます。

01_ad_restore_options

 

■ [名前が変更されたオブジェクト] と [移動されたオブジェクト] のリストア

例えば、「Taro」という名前のユーザーを誤って「Jiro」に変更してしまったとします。Arcserve UDP はこれが意図した変更なのかが分からないので、デフォルトでは「リストアからスキップ」します。つまり、「Jiro」はリストアで上書きされず「Jiro」のままです。

ここで [名前が変更されたオブジェクト] の「元の名前でリストア」を選択してリストアすれば、「Jiro」はバックアップ時点の名前である「Taro」に戻ります(※1)。

02_name_changed_objects     

 

[移動されたオブジェクト] についても同様で、「元の場所にリストア」を選択してリストアすると、リストア対象のオブジェクトがバックアップ時点にいたコンテナに戻ります。

 

■ [削除されたオブジェクト] は完全に削除されたオブジェクトのこと

少しややこしいのが [削除されたオブジェクト] の扱いです。

ここで言う [削除されたオブジェクト] は、削除操作の後に Tombstone Lifetime が経過して Active Directory データベースから完全に削除されたオブジェクトの事を指します(※2)。

完全に削除されたオブジェクトはデフォルトでは「リストアからスキップ」されます。「新しいオブジェクト ID でリストア」を選択すると、新しくオブジェクトを作り直す形でリストアが行われます。

Windows Server 2003 SP1 以降ではTomestone Lifetime は 180 日、ガベージ コレクションの実行間隔は 12 時間がデフォルト値です。そのため、オブジェクトが完全に削除されるには、最長で 180 日と 12 時間かかります(※3)。

Tombstone Lifetime が経過せずまだ完全に削除されていないオブジェクトは、この [削除されたオブジェクト] オプションでどちらを選んだとしてもリストアされます。また、オブジェクト GUID はバックアップ時点のものが変更されずに反映されます。

03_deleted_objects

 

以上、ホテがお伝えしました。

 

<関連記事>

Arcserve UDP 7.0 Agent for Windows ユーザ ガイド - Active Directory のリストア

Arcserve UDP:Active Directory オブジェクトをエージェントレス バックアップからリストアする

 


※1 ここでなぜ「Jiro」が元「Taro」だと分かるのか不思議に思うかもしれません。Active Directory の各オブジェクトにはオブジェクト GUID という ID があり、これはたとえユーザー名を変えたとしても変更されません。Arcserve UDP はこのオブジェクト GUID でオブジェクトを識別しているので、「Jiro」を元の名前の「Taro」としてリストアできるわけです。

※2 Active Directory の仕組みとして削除されたオブジェクトは Active Directory データベースの中に残っており、Tombstone Lifetime 経過後に行われるガベージ コレクションで完全に削除されるようになっています。

※3 あまり需要はないかもしれませんが、動作検証のため 180 日も待てないという方に。Tombstone Lifetime は最小で 2 日に、ガベージ コレクションの実行間隔は最小で 1 時間にまでそれぞれ短縮できます。詳しくは以下の記事をご覧ください。
Active Directory データベースのガベージ コレクション プロセスと許可された間隔の計算(機械翻訳)

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