« Arcserve UDP:Windows のバックアップを PowerShell から実行する方法 | トップページ | Arcserve UDP で PC のシャットダウン時にバックアップを行う方法 »

2020年4月10日 (金)

徹底比較!Arcserve UDP を使ったクラウドへのバックアップ方法

以前の記事で Arcserve UDP のバックアップ データ複製方法を複数紹介しました。今日はその中からシステム復旧に使われる「復旧ポイント サーバ間のレプリケート(以下、「レプリケート」)」と「復旧ポイントのコピー」に絞り、クラウドを使った遠隔バックアップの観点で細かく比較します。

先に結論だけ書いておくと、バックアップ対象容量が 1~1.5 TB を超える場合は「レプリケート」が推奨され、「復旧ポイントのコピー」はそれ未満の環境で活用する、という使い分けになります。

01_replication_crp

 

■ 大容量データをクラウドに送るには「レプリケート」

クラウドは自社拠点外のデータセンターで運用されているため、火災などに備えたバックアップ先として活用できます。Arcserve UDP の「レプリケート」は クラウド上の復旧ポイント サーバ(以下、RPS)や Arcserve UDP Cloud Hybrid に、「復旧ポイントのコピー」は Amazon S3 や Azure BLOB ストレージなどのオブジェクト ストレージにそれぞれバックアップ データを複製できます。

しかし、クラウドへのバックアップはインターネット経由になるので、LAN 内でのバックアップより時間がかかります。また、業務影響を避けるため、バックアップデータの転送にインターネット接続を使えるのは夜間や土日に限定されるという事もあるでしょう。

02_calender

(時間割の例。もっと厳しい業種もあるとは思いますが……)

 

以下の表は限られた帯域幅/転送時間の中で、「レプリケート」と「復旧ポイントのコピー」がそれぞれどれだけの容量のデータを保護できるか計算したものです。

複製方法 複製頻度 バックアップ対象容量の上限値めやす
レプリケート 日次 (8時間以内) 20,926 GB (約 20 TB)
レプリケート 週次 (48時間以内) 125,558 GB (約 123 TB)
復旧ポイントのコピー 日次 (8時間以内) 251 GB
復旧ポイントのコピー 週次 (48時間以内) 1,506 GB (約 1.5 TB)

「レプリケート」では、初回を除き増分バックアップだけが転送され、さらに重複排除と圧縮が効くので転送量はかなり小さくなります。そのため、限られた帯域幅でも大容量のデータを保護することができます。

一方で、「復旧ポイントのコピー」は毎回フル バックアップ相当のデータがコピーされるので、元の容量が大きいと業務開始までにコピーが終わりません。バックアップ対象データの上限としては、日次でコピーしたい場合は 251 GB まで、週次でも良い場合は約 1.5 TB までが業務影響なく復旧ポイントをコピーできる範囲です。

この表の結果は、スループットなどの前提条件を仮決めして計算した理論値なので、実際の環境で同じ結果が出ることを保証するものではありません。変数を変えて自分で計算したい方は以下もご覧ください。特にスループットは環境によってバラつきが大きい部分だと思います。

<条件>
ネットワーク スループット(速度): 50 Mbps
圧縮率:30%
重複排除率:40%
増分率:2%

※ 圧縮率/重複排除率/増分率は以下の記事を参考にしています。
Arcserve UDP の事例から分かる増分率と重複排除/圧縮率の傾向

<計算式:レプリケート>
バックアップ対象の容量上限 = ネットワーク スループット × 3,600 秒 × 8時間または48時間 ÷ (1 - 圧縮率) ÷ (1 - 重複排除率) ÷ 増分率 ÷ 8

<計算式:復旧ポイントのコピー>
バックアップ対象の容量上限 = ネットワーク スループット × 3,600 秒 × 8時間または48時間 ÷ (1 - 圧縮率) ÷ 8

 

■ コストは互角。小容量だと「復旧ポイントのコピー」、大容量だと「レプリケート」が優位。

クラウドのコストもグラフ化して比較します。「レプリケート」先としては Arcserve が提供する災害対策サービス Arcserve UDP Cloud Hybrid (以下、Cloud Hybrid)の費用を、「復旧ポイントのコピー」先としては Amazon S3 の費用をそれぞれ計算しています。

03_cost_comparison

Cloud Hybrid は 1 TB 単位でサブスクリプションを購入する方式なので、階段状のグラフになっています。レプリケートでは継続的な増分バックアップや重複排除/圧縮が有効なので、その前提で必要な容量と費用を計算しています。サブスクリプションは年単位で購入しますが、比較のため月額に直しています。

Amazon S3 は使った分だけ課金されるので一直線のグラフになっています。ストレージ容量だけではなく、リストアの際のダウンロードにも課金されるのでそれも加味して費用を計算しています。保存世代数は週次で1か月分を想定して「4」にしています。

グラフ全体でみると似たような結果になっていますが、バックアップ対象容量が 1 TB 未満の辺り (グラフの左下隅の辺り)を細かく見ると Amazon S3 ヘ復旧ポイントをコピーする方が安いです。前半で説明した転送時間による上限値もあわせて考えると、復旧ポイントのコピーは数百 GB の環境で活躍するソリューションだと言えます(※1)。

一方で、Cloud Hybrid は容量が増えるにつれて Amazon S3 より安くなってきます。RPS 間のレプリケートはオブジェクト ストレージと比べて高額と思われることも多いのですが、計算してみるとそうでもない事が分かります。

これも、計算方法や前提条件を、以下にまとめておきます。

<条件>
ネットワーク スループット(速度): 50 Mbps
圧縮率:30%
重複排除率:40%
増分率:2%
レプリケートでの保存世代数:30
復旧ポイントのコピーでの保存世代数:4
ドル/円:1米ドル = 110円
Amazon S3 の GB 単価:0.025米ドル/GB
Amazon S3 の ダウンロード単価:0.114米ドル/GB
Amazon S3 からの年間ダウンロード回数:1回
Cloud Hybrid 東日本リージョン単価:192,000円/年・TB

※ Amazon S3 の単価は以下から引用
https://aws.amazon.com/jp/s3/pricing/

※ Cloud Hybrid の価格は以下から引用
https://www.arcserve.com/wp-content/uploads/2019/08/uch-price-sub-jp.pdf

<計算式:レプリケート>
月額換算費用 = Cloud Hybrid 東日本リージョン単価 ÷ 12 × レプリケート先容量を TB 単位に切り上げた値
レプリケート先容量 = バックアップ対象容量 × (1 + ((世代数 + 1) × 増分率)) × (1 - 圧縮率) × (1 - 重複排除率)

<計算式:復旧ポイントのコピー>
月額換算費用 = バックアップ対象容量 × (世代数 + 1)× (1 - 圧縮率) × (Amazon S3 の GB 単価 + (Amazon S3 の ダウンロード単価 × Amazon S3 からの年間ダウンロード回数 ÷ 12)) × ドル/円

 

■ 高度な要件に対応できるのは「レプリケート」

「復旧ポイントのコピー」は Linux に対応していないので、バックアップ対象に Linux が含まれる場合は、「レプリケート」を選択することになります。

また、長時間のダウンタイムが許されないシステムにも「レプリケート」がお勧めです。レプリケート先では仮想スタンバイインスタント VM を使って本番システムの代替 VM を立ち上げられるので(※2)、リストア待ちの時間を省略できます。リストアはデータの容量に比例して時間がかかるので、この点でも「レプリケート」は大容量な環境に向いていると言えます。

 

■ まとめ

ここまで、Arcserve UDP の代表的な遠隔バックアップ機能である「レプリケート」と「復旧ポイントのコピー」を比較しました。いずれも複製したバックアップ データからシステム全体の復旧が行える、汎用性の高い災害対策手段です。他にもクラウドを活用したバックアップ方法が多数ありますが、Arcsrve UDP を使っている方はまずはこの 2 つから検討すると良いと思います。 

という事で、今日のところは 1~1.5 TB を超えるクラウド バックアップは「レプリケート」、それ未満は「復旧ポイントのコピー」と覚えておいてください。

以上、ホテがお伝えしました。

<関連記事>

Arcserve UDP : バックアップ データ複製方法のメリット/デメリット比較

Arcserve UDP 機能紹介 ~ (11) バックアップデータの遠隔転送 ~

新サービス!「Arcserve UDP Cloud Direct」「Arcserve UDP Cloud Hybrid」のご紹介

Arcserve UDP コンソールで復旧ポイントのコピーを使う

 


※1 先日紹介した Wasabi Hot Cloud Storage であれば、ダウンロードの費用がかからないのでさらに安くなりそうです。

※2 別途、仮想マシンを起動するためのハイパーバイザーかクラウドが必要です。Arcserve UDP Cloud Hybrid でも仮想スタンバイ/インスタントVM に対応しています。

« Arcserve UDP:Windows のバックアップを PowerShell から実行する方法 | トップページ | Arcserve UDP で PC のシャットダウン時にバックアップを行う方法 »

Arcserve UDP (旧製品名 Arcserve D2D)」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く

コメントは記事投稿者が公開するまで表示されません。

(ウェブ上には掲載しません)

« Arcserve UDP:Windows のバックアップを PowerShell から実行する方法 | トップページ | Arcserve UDP で PC のシャットダウン時にバックアップを行う方法 »