Arcserve Replication と Cloud Direct の意外な共通点
当ブログでもおなじみの Arcserve Replication/High Availability(以下 Arcserve RHA) と最近東日本リージョンが開設された Arcserve UDP Cloud Direct(以下 Cloud Direct)は別ジャンルのソリューションに見えて、意外な共通点があります。
今日はその共通点を 3 つご紹介します。ほぼ雑談ですが役に立つ話もあるかも。
共通点 1 : 遠距離通信に強い!
Arcserve RHA はもともと「WANSync(WAN越しの同期)」という名前だったこともあるくらい、WAN 環境に強いソフトウェアです。
WAN、特にインターネット VPN では瞬断が起こりがちなので、Arcserve RHA は転送するデータをスプール領域にためておき、回線障害が復旧したら途中から再送するという仕組みを持っています。
データの転送先との距離が離れているとどうしてもネットワークのレイテンシ(遅延)も大きくなってしまいますが、そういった環境でもストリームを複数に増やすことで高速にデータを転送する仕組みがあります。また、限られた帯域幅をレプリケーションで使い切らないように、帯域制御機能も用意されています。
<参考記事>
VPNだと転送が遅い…という時に。マルチストリーミング機能で高速レプリケーション!
Arcserve Replication : レプリケーションで使用される帯域幅をスケジュールで制限し回線の圧迫を避けることが可能です。
Cloud Direct もインターネット経由で直接クラウドにバックアップするサービスなので、同様の対策を備えています。
瞬断があった場合には複数回転送を試行することでバックアップジョブが失敗しにくいようになっています。また、帯域制御機能もあるので、例えば Web 会議中に PC のバックアップが始まったという場面でも安心です。
(Cloud Direct の帯域制御設定例)
共通点 2 : 拠点サーバのデータ保護に便利!
Arcserve RHA では遠距離通信に強いという特長を生かして、管理者のいない拠点のサーバのデータを本社やデータセンターに複製して保護するという使い方を多くされています。
また、Arcserve RHA ならではメリットとしては、ファイルが全く同じ形式で複製されるので、障害が起きた際には複製先サーバを使ってすぐにデータが参照できるという点があります。
Cloud Direct もインターネット回線だけあればバックアップできる、という手軽さを生かして、拠点サーバのバックアップに使われるケースが多いです。
また、Cloud Direct は Windows 10 などのクライアント OS にも導入できるので、サーバだけでなくテレワークで使用されている PC のデータをバックアップしたいという場面でも活用できます。
<参考記事>
共通点 3 : 用語が一緒!
Arcserve RHA では「同期」と「レプリケーション」という 2 つの処理を組み合わせてデータ複製します。まず初めに行われるのが「同期」で、これによりデータのベースラインをそろえた上で、リアルタイムにレプリケーションを行います。
<参考記事>
Cloud Direct では初回にフルバックアップを行い、その後、日々の増分バックアップをクラウドに送っていくという動きになります。昔はこのフルバックアップの事を「Synchronization(同期)」と呼んでおり、デバッグ用のログの中にその名残が見付けられます。
さらに、バックアップ対象サーバ/PC に導入する Cloud Direct エージェントの本名(?)は Replication Agent という名前で、これも「レプリケーション」と一致しています!
(Cloud Direct エージェントは Replication Agent としてインストールされます。)
Cloud Direct の社内研修で初めてこの用語の説明を受けたときは、この共通点に驚きました。というのも、Cloud Direct は Arcserve Replication とは全く別な由来のソフトで、開発部門も別だったもので……
同じような目的のソフトウェアを開発していると、言葉遣いも似てくるものなのかもしれません。
なお、用語が共通しているだけあって、同期における注意点も共通しています。Arcserve Replication でも Cloud Direct でも初回の同期(フルバックアップ)は WAN/インターネット経由で大容量のデータを送ることになるので、それなりに時間がかかる覚悟が必要です。
Arcserve Replication ではデータをあらかじめ物理媒体で送っておくという事ができますが、Cloud Direct には残念ながらそういった機能はありませんので(2020年7月現在)、データの容量が大きい場合は、フルバックアップが終わるまで辛抱して待っていただく必要があります。
<参考記事>
以上、ホテがお伝えしました。
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