Arcserve UDP 7.0 Update 2 for Linux 公開で対応範囲が拡大。RHEL8/CentOS8のベアメタル復旧にも対応!
皆さんこんにちは、2020年11月20日に Arcserve UDP 7.0 Update 2 for Linux が Arcserve サポート ポータルに公開されました。
今回は Arcserve UDP 7.0 Update 2 for Linux で新しくなった点に加え、Linux サーバのベアメタル復旧に関連したポイントなどを改めて解説しようと思います。
これまで Arcserve UDP 7.0 で公開された Update をリリース順に並べると
– 7.0 Update 1(Windows/Linux共通)2019/09/30 公開
– 7.0 Update 2(Windowsコンポーネント向け) 2020/04/28 公開
– 7.0 Update 2(Linuxコンポーネント向け)2020/11/20 公開
となり、今回は Linux コンポーネント専用の Update となります。Windows コンポーネントのみ利用している方は適用不要ですのでご注意ください。
Arcserve UDP 7.0 Update 2 の LiveCD について
(図1)
ベアメタル復旧では、復旧用メディア(以降”LiveCD”と記載)で起動し、ネットワーク経由でシステム全体を復旧します。例えば、図1では CentOS 8 と記載された左側のサーバを LiveCD で起動し、LiveCD に認識されたネットワークを使用してバックアップ データにアクセスしリストアします。
Arcserve UDP 7.0 Update 2 for Linux では、標準の LiveCD を CentOS 8 ベースとすることで、Red Hat Enterprise Linux(以降”RHEL”と記載)8 / CentOS 8 / Oracle Linux 8 を含む環境をベアメタル復旧できるようになります。(※1)
LiveCD の ISO イメージは Arcserve UDP Linux Agent のインストールパス以下の “/opt/Arcserve/d2dserver/packages/UDP_Agent_Linux-LiveCD.iso” にコピーされます。旧バージョンから Arcserve UDP 7.0 Update 2 へアップグレードした場合は、この ISOイ メージも置き替わります。旧 LiveCD も保存しておく場合は、アップグレード前に、ISO イメージを退避させておいてください。
各 Update の LiveCD のカーネルバージョンは以下です。Update や LiveCD が混在する環境ではカーネルバージョンを見れば、どの LiveCD なのかを確認できます。
- Arcserve UDP 7.0 Update 1(RHEL 7 カーネル): 3.10.0-229.1.2.el7.x86_64 (1,172,484,096 byte)
- Arcserve UDP 7.0 Update 2(RHEL 8 カーネル): 4.18.0-80.el18.x86_64 (1,272,258,560 byte)
上記カーネルバージョンは LiveCD 起動環境で、”uname -a” コマンドで実行することで確認できます。
カーネルバージョン確認: uname -a
以降でご紹介する LiveCD でのコマンド操作は、図2の LiveCD 起動後の画面でキーボードから Enter キーを押しコマンド入力画面に切り替え実行します。
(図2)
なお、ベアメタル復旧の手順はこれまでと同じです。詳しい手順はユーザガイドや環境構築ガイドを参照してください。
Arcserve UDP 7.0 Update 2 でサポートされるようになったプラットフォーム
RHEL / CentOS / Oracle Linux 8 系以外にも、SUSE Linux Enterprise Server や Debian、Ubuntu の最新バージョンもサポート対象に加わっています!これらの Linux ディストリビューションをご利用の方は、ぜひ Arcserve UDP 7.0 Update 2 for Linux をご利用ください。
(図3)
(2021年2月1日追記、2021年4月5日更新)RHEL/CentOS/Oracle Linux 8.3, Debian 9.12, 9.13, 10.6 に対応するパッチも公開されました!
P00002191 | Arcserve UDP 7.0 Update 2 | RHEL/CentOS/Oracle Linux 8.3 のサポート
P00002201 | Arcserve UDP 7.0 Update 2 | Support for Debian 9.12, 9.13
P00002162 | Arcserve UDP 7.0 Update2 | Support For Debian 10.6
LiveCD 起動時のネットワークの認識
これ以降は、Arcserve UDP 7.0 Update 2 に限らず、Linux サーバのベアメタル復旧に関わる技術的なポイントを2つ解説します。
Linux サーバのベアメタル復旧は、LiveCD 起動環境のネットワーク経由でバックアップデータ(復旧ポイント)にアクセスする必要があり、そのためには意図した NIC に意図した IP アドレスを割り当てる必要があります。
LiveCD の NIC 認識順番はハードウェア構成に依存し、IP アドレスは DHCP サーバから取得します。意図した IP アドレス、及びデフォルト ゲートウェイが割り当たっていない場合には、ifconfig コマンドで修正します。
IP アドレス変更: ifconfig <NICデバイス> <IPアドレス>
デフォルトゲートウェイ設定: route add default gw <ゲートウェイ IP アドレス>
※ 図2の例では NIC 論理デバイスは ”eth0” として認識されています。
NIC に割り当てられている論理デバイス名は ”dmesg” コマンドで確認できます。
NIC論理デバイス確認: dmesg | grep NIC
出力例は以下で、論理デバイスは、物理デバイス(この例ではe1000)に続く2番目に表示されます。
e1000: <NICデバイス名> NIC Link is Up 1000 Mbps Full Dupulex
リストア オプション
最後はベアメタル復旧操作で良く頂くご質問で、リストアオプションの [ターゲット マシン上の除外ディスク] 及び、ベアメタル復旧中のログ確認方法に関して解説します。
(図4)
■ [ターゲットマシン上の除外ディスク] とは?
Arcserve UDP Linux では LiveCD で認識されたディスクをベアメタル復旧の前に全て初期化します。図4の [ターゲット マシン上の除外ディスク] オプションで指定したディスクは、この初期化対象から除外されることを意味します。
一方、Arcserve UDP Linux のベアメタル復旧ではバックアップしたボリュームを全てリストアします。上記の除外設定は、バックアップしたボリュームの中から一部のボリュームだけをリストア除外する設定ではないのでご注意ください。
■ [デバッグ オプション] とは?
また、ベアメタル復旧で意図した復旧動作とならない場合、ベアメタル復旧中の動作を確認するため、復旧対象サーバ内に保存されたログを確認することができますが、復旧の成否にかかわらずサーバが再起動してしまうとログが消失してしまいます。
これを避けるため [デバッグ オプション] で [再起動しない] を有効にすることで自動的に再起動しなくなります。
この状態で図2画面からコマンド操作できる画面に切り替えた後、/tmp/logs 内のファイルを共有フォルダなどにコピーしておけばベアメタル復旧中のディスクの初期化処理などの詳細を確認することができます。
特にディスクの初期化に失敗しているような場合は、図5中でリストされている、d2dsysinfo-x.log を参照することで、より詳細に確認することが出来ます。
(図5)
また、Arcserve UDP に関する技術的な情報についてはカタログセンター、Web セミナーなどでもご紹介しています。是非こちらもご参照ください。
Arcserve イベント/セミナー
-Arcserve UDP 前編
-Arcserve UDP 後編
その他、Arcserve UDP および Arcserve UDP アプライアンスに関するカタログや紹介資料、事例については Arcserve.com カタログ センターを参照ください。
<関連記事>
※1 後継バージョンの Arcserve UDP 10.0 では、最新の環境に対応するべく AlmaLinux 9.0 ベースの Live CD が同梱されることになりました。詳しくは以下の記事をご覧ください。
Arcserve UDP 10.0 新機能(2)AlmaLinux 9.0 Live CD を使った RHEL 9 系の BMR
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