クラウド CRS のベンチマーク テスト(2025年9月版)を解説します
サイバー攻撃からバックアップ データを保護するイミュータブル ストレージ Arcserve CRS シリーズ。このうち、クラウドで提供される Arcserve Cloud Cyber Resilient Storage(以下、クラウド CRS と略記)は、インターネット経由でデータをやり取りするため、性能についてのご質問をよくいただきます。
そこで今回は、2025年9月に Arcserve Japan で実施したベンチマーク テストの結果を(※1)解説します。
# テスト環境
クラウド CRS へバックアップ データを保管するには、Arcserve UDP 復旧ポイントサーバ(以下 RPS と略記)が必要です。今回のベンチマーク テストでは、Arcserve Japan の東京オフィス(東京都千代田区)に RPS を設置しました。
この RPS からインターネット経由でクラウド CRS の東京リージョンに接続し、クラウド CR データストアを構築しています。
Arcserve Japan の東京オフィスからは、帯域幅 300 Mbps のインターネット回線が使えるようになっています。
このうち、RPS が東京にあるというのは結構大事なポイントです。クラウド CRS と物理的な距離が近く、ネットワークのレイテンシが比較的小さいことが、後述の良いパフォーマンスにつながっています。
# 結果解説:バックアップはかなり速いがリストア時間には注意
前述の環境でバックアップ/リストアを行ったのが以下の結果です。
まず注目したいのが1行目と3行目のバックアップのテスト結果で、いずれもかなり速い速度(スループット)が出ています。システム ボリュームのバックアップ 2.76 GB/分(= 376.9 Mbps)と Arcserve Japan オフィスのインターネット回線帯域幅をほぼ使い切っています(※2)。
Arcserve UDP は継続的な増分バックアップによりバックアップ容量が小さいので、これだけの速度が出るならかなり大きなデータをバックアップできるのでは……と思ってしましますが、ちょっと待ってください。ランサムウェア被害からの復旧時間に直接の影響を及ぼすリストア時間についても考える必要があります。
リストアのテスト結果は2行目、4行目、5行目で、いずれもバックアップに比べると遅いスループットになっています。特にファイル単位リストアは、ファイルを1つ1つリストアするという事もあり、ネットワーク レイテンシの影響を大きく受けているように見えます(※3)。
さらに、継続増分ができるバックアップと異なり、リストアでは基本的にすべてのデータが処理されます。特にバックアップ対象1台当たりのデータ量が多いシステムでは注意してください。例えば、リストア対象データが 1 TB(1,024 GB)あるシステムを 1 GB/分のスループットでリストアすると、1,024 分(17時間強)かかる計算になります。このリストア時間がシステムの RTO(目標復旧時間)に合致するかどうか、事前の確認が必要です。
# 購入前の無償トライアルをお勧めします
という事で、お勧めなのが Arcserve クラウド CRS の無償トライアル(評価)です。以下のページからお申込みいただくことで、無償で 30 日間クラウド CRS を試していただけます。
クラウド CRS はクラウド上のストレージだという特性上、バックアップ対象サーバや RPS の位置によってパフォーマンスが異なります。ぜひ、実際に RPS 等を導入しようとしている環境でお試しください。また、リストアの時間を測定しておくこともお忘れなく。
以上、ホテがお伝えしました。
<関連記事>
※1 Arcserve CRS シリーズ 紹介資料 にも同一の結果を掲載しています。
※2 契約帯域 300 Mbps よりも速いスループットが出ているのは、重複排除や圧縮によりクラウド CRS に送られるデータ量が削減された効果によるものです。
※3 ファイル単位リストアの時間を改善するため、また対照テストとして、ブロック リストアを行った結果が検証結果一覧の5行目です。バックアップには及びませんがスループットが大きく改善されているのが分かります。Windows のファイル数が多い環境でご利用ください。
参考:Arcserve UDP 7.0 Update 1 新機能 (2):復旧時間を短縮!Windows ボリュームの「ブロック リストア」
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