Arcserve CRS シリーズの運用管理 Tips
早いものでArcserve Cyber Resilient Storage (CRS) シリーズをリリースして2カ月が経とうとしています。リリース前はドタバタと準備に追われていましたが、その甲斐もあり、日々たくさんのお客様からのお問い合わせや、紹介/ご提案依頼を頂戴しています。Arcserve CRS シリーズの紹介やご提案の中でも様々な質問を頂戴しますが、運用管理に関する内容も多いので、今回のブログ記事では Arcserve CRS シリーズ (クラウド版とオンプレミス版があります) の運用管理のコツについて触れていきます。
◆利用中の容量確認
まず Arcserve CRS シリーズは容量課金のサブスクリプション ライセンスであるため、契約容量に収まっているかは気になるところ。クラウド版 CRS の容量管理は Arcserve Cloud Storage ポータルにアクセスすることで、現在利用しているトータル ストレージ容量 (バックアップ データ + スナップショット) を確認できます。なお、クラウド版 CRS で管理できるのは、2025年10月現在のところ容量確認のみになります。

オンプレミス版 CRS (※1) は GUI が無いので、すべてコマンドで操作します。オンプレミスの CRS にログインし、[filesystem list] コマンドを実行すると、復旧ポイント (バックアップ データ) やスナップショットの格納先である filesystem と、USEDの項目覧で現在利用している容量を確認できます。

(補足) FREE の項目覧に表示される容量は、契約しているサブスクリプションの残り容量ではなく、格納先となるオンプレミスの CRS に搭載しているディスクの残り容量になります。
Arcserve CRS シリーズで購入が必要なライセンス容量は、バックアップの世代データの格納サイズにスナップショットのサイズを足した容量です。オンプレミスの CRS に搭載している全ディスク容量のライセンスを購入される必要はありません。
例えば、オンプレミスの CRS に 10TB のハードディスクを用意したとしても、バックアップの世代データとスナップショットの合計サイズが最大 5.2TB と予想される場合は、6TB 分のオンプレミス版 CRS のサブスクリプション ライセンスをお求めください。
◆オンプレミス版 CRS の運用管理
オンプレミス版の CRS は絞り込んだ21個のコマンドのみ実行でき、ランサムウェアの攻撃から守るため、通常の OS で操作できる管理コマンドはほぼ制限されています。このため、CRS の管理は3つの機能から実施します。
(図1) オンプレミス版 CRS を管理する3つの機能
- 物理サーバの IPMI (※2)
まず、ハードウェアの管理は物理サーバの IPMI から実施してください。CRS からも一部ディスクの障害管理は可能ですが、細かな管理機能を搭載していないため、ハードウェア全般の管理は IPMI から実施いただくのが最適です。
- オンプレミスの CRS
CRS の CUI で管理できるのは、(図1) に記載してあるように、利用設定や利用容量確認、CRS から見たディスク障害への Alert 通知(電子メール通知)や CRS ソフトウェアのアップデートになります。そのほか以下の管理も可能です。
- CRS へのログイン アカウント管理 (パスワード初期化など)
- ネットワーク アドレスの設定
- イミュータブル スナップショットの管理
- Arcserve テクニカル サポートへのログ送付、およびリモート支援の許可
- Arcserve UDP コンソール
Arcserve UDP コンソールからは CRS への接続設定や、書き込み先となるサイバー レジリエンス データストアの管理を行います。
◆電子メール通知
オンプレミス版 CRS では、ディスク障害発生時など4種類の障害時に電子メールを送信できます。このディスク障害は CRS から見た障害になるため、物理サーバから監視するレベルとはまた別物です。とはいえ、障害の通知になるため、電子メール通知を設定しておくといいでしょう。

(図2) 通知できる4種類の Alert(電子メール通知)
メールの設定はSMTPのメールサーバを用意するか、SMTPが有効な外部メールを利用します。最初に [email configure] コマンドで、電子メールの送信設定をします。
![]()
詳細はマニュアルに記載されていますが、上のコマンド例で利用している引数の説明になります。
-H: SMTP サーバ名
-P: SMTP のポート番号(メール サーバによって変わります)
-t: STARTTLS
-x: メールのタイトル
(補足) Gmail を利用される場合は、Gmail のアカウントにアプリ パスワードの設定が必要になります。CRS の画面で入力するパスワードは、アプリ パスワード設定時に表示されたパスワードになります。
次に SMTP の送信設定が正しく行われたか [email test] コマンドでテスト メールを送信します。(送信設定で指定したメールアドレスが送信元のアドレスとなり、-r で指定するアドレスは送信先のアドレスになります。)
![]()
正しく設定されている場合は、指定した送信先アドレスに電子メールが届きます。

次に Alert を設定します。
![]()
設定した Alert は [alert list] コマンドで確認できます。

◆CRS ソフトウェアのアップデート
オンプレミス版の CRS ソフトウェアのアップデートモジュールが存在するかは、[update check] コマンドでチェックできます。(インターネット接続が必要です)
![]()
アップデート可能なモジュールが表示される場合は、[update install] コマンドで更新できます。なお、利用中の CRS のバージョンは、オンプレミスの CRS にログインすると表示されますが、[version] コマンドを実行すると、より細かい情報が表示されます。

◆そのほか
CRS にアクセスするための、アクセスキーとシークレットキーの作成や、アカウント管理、Arcserve サポートへのログのアップロードなどはマニュアルをご覧ください。また CRS のインストールや設定については、スタートアップガイド (クラウド版、オンプレミス版) に詳しく手順を掲載しています。是非ご覧ください。
なお、オンプレミス版 CRS では、画面に表示された文字のコピーや、画面スクロールができません。コマンドをつなげるパイプ “|” なども制限が入っているため、一画面ずつ表示させる機能もありません。文字コピーが必要な場合や、ログ表示などで画面スクロールが必要な場合には、PuTTY や Tera Term などの SSH ツールで CRS に接続してください。
最後になりますが、Arcserve CRS シリーズの設計/導入方法を詳しく解説する Web セミナーも開催しています。(直近のスケジュールだと 11月13日 に開催) 是非ご参加ください。
タイトル:【エンジニア必見!】Arcserve CRS シリーズで実現する次世代ランサムウェア防御術
日時:2025年11月13日(木)14:00-15:30(初回開催が好評につき追加開催いたします。)
申込:https://marketing-navi.jp/seminars/hpeegv/seminar_49
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