Arcserve UDP 10.2 新機能紹介:復旧ポイントサーバのデータストアで Amazon S3 / Azure Blob / Google Cloud Storage が利用可能に
2025年8月21日、Arcserve UDP 10.2 公開、9月3日より新プラットフォーム/新機能をサポート開始しました。新機能のひとつに、AWS/Azure/Google クラウド データストア(以下 クラウド データストアと略記)があります!これは、復旧ポイント サーバ(以下 RPSと略記)のデータの保管先に Amazon S3 等のオブジェクト ストレージを使えるというものです。
どんな場面で使えるのか?
これにより、比較的安価に、クラウド内で完結したバックアップ環境を構築可能です。
例えば、Amazon EC2 で構成されたシステムのバックアップを、同リージョンの Amazon S3 に直接バックアップする、という事が実現できます。RPSが前提の機能なので、Arcserve UDP の得意技である継続的な増分バックアップや重複排除で、ストレージも効率的に利用できます。
さらに、クラウド上に構築した RPS へオンプレミスのデータを複製することで、災害/ランサムウェア対策にも使えます。
Arcserve UDP では 「10.0」というバージョンから特にクラウドへ力を入れており、アドホック仮想スタンバイと呼ばれている機能により、IaaS のリストアが簡単に行えるようになっています。
・Arcserve UDP 10.0 新機能(5):アドホック仮想スタンバイを使った IaaS の保護
さらに、Arcserve UDP 10.2 からはクラウド データストアが使えるようになり、リストアだけではなくバックアップも効率的に行えるようになりました。
利用にするにあたってのライセンス/技術要件(概要)
さて、続いては、クラウド データストアを利用する上での技術的な要件、設計するにあたって必要な情報を3つ記載します。
(1) Arcserve UDPのライセンス/機能要件
(2) クラウド アカウントの設定
(3) RPSの要件
(1) Arcserve UDPのライセンス/機能要件
クラウド データストアの利用には Arcserve UDP のバージョンが 10.2 以降であること、Premium Edition 以上が必要になります。さらに、RPSかつ重複排除でのバックアップが必須です。なお、前述のアドホック仮想スタンバイもRPSが必須要件です。RPS の要件は後述します。
(2) クラウド アカウントの設定
クラウド ストレージと連携するために、Arcserve UDP コンソールにクラウド アカウントを登録する必要があります。この際に、利用するクラウド ストレージにもよりますが、ストレージにアクセスするためのアクセス キーとシークレット キーが必要になります。
設定方法は、以下のマニュアルの中で、各クラウド ストレージのページを参照してください。
・クラウド アカウントの追加
重複排除が有効な RPS データストアでは4種類のデータ保存先が使われます。
クラウド データストアではこのうち、一番容量の大きくなるデータ デスティネーション部分がクラウド ストレージ側へ直接格納されます。これにより、RPS に大容量のボリュームを接続させる必要がありません。バックアップ/リストア時に高い頻度で読み書きが行われる「データ ストア フォルダ(※1)」、「インデックス デスティネーション(※1)」、「ハッシュ デスティネーション」は RPS 内に格納する必要があります。
必要なリソースは2つ、ディスクとメモリです。データストア、インデックスでは合計でバックアップ データ量全体の1割ほどの容量のディスクが必要です。追加が必要になるメモリのサイジング方法は、利用するハッシュ モードによって異なります。RAMモードの場合は、Arcserve UDP 10.x サーバ構成とスペック見積もり方法を参照ください。SSD モードの場合は、Arcserve UDP Appliance にデータ ストアを追加するときの注意点を参照ください。
バックアップ データのサイジングについては、以下のブログ記事も参照ください。
・Arcserve UDP 復旧ポイント サーバ(RPS)の容量計算が簡単になります!
なお、クラウド データストアでは、重複排除に利用されるブロック サイズは、64 KB固定となります。
いかがでしたでしょうか。今回は Arcserve UDP 10.2 の新機能であるクラウド データストア利用にあたるメリット、技術的な要件、最低限設計に必要な情報を記載させていただきました。より詳細な技術的要件については、どのクラウドを利用するかによっても変わってしまうため、別の機会にクラウドごとに執筆したいと考えています。クラウド内でのバックアップ、オンプレミス データの災害/ランサムウェア対策はぜひArcserve UDP をご活用ください。
<関連記事>
※1 データ ストア フォルダとインデックス デスティネーションが RPS に保存されるのだとすると、RPS が破損してしまった時にデータが読めなくなってしまうのでは?と心配されるかもしれません。そのような障害に備え、データ ストア フォルダとインデックス デスティネーションは 15分間隔でクラウド ストレージに同期される仕組みです。
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